すたこら お笑いで濃い日常を

すた・こら

 私はお笑いにハマっている。芸人のネタや彼らの日常の振る舞いなどをさまざまな媒体で見ていて、自分にはない才能に満ちた人生に心を動かされるのだ。

 ハマったきっかけは、2019年の「M―1グランプリ」。結成15年以内の2人以上の漫才師の頂点を決めるこの大会の、敗者復活戦に出場した大阪のコンビ芸人の漫才だった。緊張感に包まれた重々しい雰囲気が、テレビの画面越しでも伝わってきた。

しかしそのコンビが漫才を始めた時、会場の雰囲気が一変した。マイクから離れて自由奔放に動き回り、意味こそすぐに理解できないが、なぜか笑ってしまうきてれつ漫才。ツッコミとボケの掛け合いで笑いをとる正統派漫才ではない、独自のスタイルで観客を引きつけていた。

 人を笑わせるために新しいものを生み出すことはそう簡単にできないと思う。従来のお笑いの形をそのままやってもダメ。かといって外れすぎていても受け入れられにくくなってしまう。その難しさをものともしない、創造性あふれる芸のすごさに私は圧倒された。

 視野の狭い私は、日常で何か自分からアイデアを出す機会があったとしても、面白みがなく、よくありがちなことしか思いつかない。自分にはできないことだからこそ、私にとってお笑いは楽しいだけではなく、自分の将来に向けた選択にも影響を与えている気がする。今後もお笑いを楽しみ、刺激を受け、自分にしかできない濃い日常を送りたい。【日本大・村脇さち】

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