7月上旬に富士山に登った。留学生の友人からリクエストがあったからだ。正直なところ、登山には興味がなかった。しかし、誘われないと経験できないことはたくさんある。体力のある今だからこそと思い、挑戦することにした。
一行は留学生3人と日本人5人の計8人。ガイドなし・宿泊付きのツアーを選び、登山靴や雨具などは事前にレンタルした。登山経験者は日本人2人で、富士登山の経験者は1人だけだった。Advertisement
1日目は、天気の変化が激しかった。スタート地点の5合目は涼しく快晴だったのに、7合目は体が持っていかれるほどの強風だった。砂や石が顔にあたり、体と頭が痛く、帰りたくて仕方がなかった。本8合目の小屋に着き、強風で山頂への登山が危ういという情報を得つつも、許可が下りることを願って、仮眠をとった。2日目の未明から風が少し弱まったため、頂上を目指して小屋を出た。
2時間後、日本一高い場所でご来光を見ることができた。薄暗い空をじりじりと照らすオレンジと黄色の強い光。そして浮かび上がった下界の緑色が自分の心に刺さり、それまでのつらい思いが、一瞬にして達成感に変わった。
普段、自然よりもスマホのコンテンツに関心が向き、晴れた空の下でも周囲の自然に目を向けず、画面を見てばかりの日々だった。しかし自然に触れることで、日々の窮屈な生活から離れリラックスできることを知った。今後も時間を作って自然を感じられる場所を探したい。【日本大・村脇さち】