通学路が帰宅途中の小学生でにぎわう午後3時。私は民営託児施設で子どもたちの到着を待っていた。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大学の授業の多くがオンラインに移行され、時間を持て余していた昨年夏。私は空いた時間を活用して、小中学生を平日午後3時から同6時まで預かる行政委託のその施設で、週に一度、子どもたちの相手役になるボランティアを始めた。その活動は今も続けている。
この施設では、主に家庭の事情によって、福祉的な支援を必要としている子どもたちを預かっている。子どもが抱える事情はさまざまだが、私はそんな子どもたちにとって、この施設が居心地の良い場所になってくれればいいなと常々思っている。宿題を手伝ったり、一緒に遊んだり、相談相手になったり。子どもたちとともに過ごす楽しい時間。一人一人の無邪気な笑顔に、私の方がいつも救われている。
そんな中、この施設に通っていた女の子の一人が今年の3月、高校進学を機に退所することになった。規約上、私はその子の住所や連絡先は知らされておらず、名前しかわからない。退所してしまうと、私から会いに行くすべは失われてしまうのだ。しかしその子は「またここに遊びに来るね」と言ってくれた。
その子にとって、ここが「いつでも戻れる場所」になってくれれば幸いだ。成長した彼女とこの場所で再会するその日を、私は楽しみに待っている。【中央大・朴泰佑】