編集部座談会 大学生の恋愛・結婚観は? 傷つきたくない、家族が欲しい…

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 「配偶者、恋人はいない」人は20代男性の65%、同女性の51%。「デート未経験」の人は20代独身男性の40%、同女性の25%――。今年6月に発表された男女共同参画白書では若い世代の恋愛、結婚に対する消極的な姿勢が浮き彫りとなり、大きな話題となった。現役大学生はどうだろうか。キャンパる編集部の学生記者で語り合った。【司会・まとめ、早稲田大・山本ひかり】

 ――若者世代が恋愛に縁遠いという傾向が示されましたが、その理由は何だと思いますか?

 A 娯楽の多様化によって、恋愛せずとも満足できる環境ができている。安心して楽しめる他の選択肢がいろいろある中で、「フラれる」「心が傷つく」「人間関係を壊す」といったリスクがある恋愛が敬遠されているからではないか。

 B 将来に対する不安ではないかと思う。恋愛は将来について考えるきっかけになるが、今の日本の現状では、経済的に安定した未来図は描きにくい。だからこそ、恋愛に消極的になっているのではないか。

 ――周りを見て、恋愛に興味が薄い人が多いと感じることはありますか?

 C 私の周りには恋愛に興味がない人は少ない。経験がないという人もいるが、興味がないわけではなく、機会がないと感じている人の方が多い印象がある。

人それぞれでいい

 ――「若者の草食化が進んでいる」と論じるマスコミもありました。 

 B デートや恋愛経験のない人が良くない、とでも言いたいような取り上げ方には違和感を持った。人それぞれでいいはずだ。

 ――恋愛経験の有無は少子化の進行と関連付けて語られることも多いです。

 C 若者にとって、恋愛は必ずしも結婚に結びつかない。それより子供を産みたいと思った人が産めないのが一番よくないと思う。

 D 出産も子育てもお金がかかる。女性の働きやすさ、有休の取りやすさなど考えるべきことは多い。

制度残って/多様化賛成

 ――あなたが考える結婚について教えてください。

 A 一人で最期を迎えるのは怖い。急ぐ必要はないとわかっているが、自分の経験上、家族の重要性は思い知らされている。結婚にもっといろいろな形があってもいいと感じるが、結婚制度そのものはなくならないでほしい。

 B 結婚したいと思っているし、付き合っている相手と話をすることもある。ただ早い結婚には経済的な面でためらいがある。結婚自体に関しては保守的な方で、式も一つの儀式として丁寧に行いたい。とはいえ時代に合わせて変化していくことも重要だ。

 C 結婚したい気持ちはあるが、むしろ家族が欲しいという感情の方が大きい。ただ、大学に通って勉強したのだから、せっかくならしっかり働きたいという思いもある。結婚のあり方については、事実婚や同性婚など、多様化していってもいいのでは。

 D 結婚は早めにしたい。社会人になるとなかなか出会いの機会はないというし、学生結婚も反対ではない。結婚式にはあまりお金をかけたくないが、両親やお世話になった人に感謝は伝えたいので、スピーチなどは行いたい。

 ――恋愛・結婚において、自身の中で譲れない点を教えてください。

 D 私は価値観が合うことを大切にしたい。同棲(どうせい)など相手を知る時間を多くとり、自分との違いを感じた時に受け入れられるかを知っておきたい。男性だと収入を気にすることもあるのかもしれないが、女性も働きやすくなっているし、そこまで悲観しなくてもいいのではないか。

効率的な「マッチング」

 ――新型コロナウイルスが今回の結果に影響していると思いますか? また、オンラインでの交流は対面での交流の代替措置となりえると思いますか?

 A コロナ禍で人と触れ合う時間が減っているのは事実。だが、オンラインでの交流のみで信頼関係を築くのは至難の業だと思う。

 B もともと恋愛と距離のあった人が、コロナ禍を機により距離ができてしまったのではないだろうか。オンライン授業などでは、気軽にご飯に誘うなど雑談ができない。友人ですらそうなのだから、恋愛だと一層難しいのではないか。

 C コロナの影響で、自分から動かないと何も変わらないことが分かったので、行動する一つのきっかけになったのは悪いことではなかったかもしれない。オンライン上での恋愛も、近年はマッチングアプリなどが利用され始めている。つながる際に一定の共通点などを見つけることができるため、効率的だと思う。

 ――これから恋愛・結婚の形はどうなっていくと考えますか? 

 A 恋愛も結婚も、一人一人違っていいと思う。特に結婚は、家を継ぐという意味合いが少しずつ薄れている気がする。多様な形があれば楽になるのでは。

 D 大学への進学や研究など、結婚しなくても自立できるような選択をしてきた。もちろんそれは恵まれているからこそできること。「結婚しなさい」などと言われることも減ってきているので、自分の好きなように生きていいと思う。

 ――ありがとうございました。


 <参加学生のプロフィル>

A=3年男子22歳

B=4年男子21歳

C=2年女子20歳

D=4年女子21歳

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