すたこら 番犬

すた・こら

 私はハードロックというジャンルの音楽が好きで、一人でいるときは自分の鼓膜が心配になるくらいの爆音で音楽を聴く。3年前、有り金をはたいて買った高音質のヘッドホンは私の必需品だ。

 ロックとの出合いは中学2年生の時。友人と訪れた地元埼玉県で開催される音楽祭だった。私はそこで初めて音楽は聴くものでなく、体感するものだと感じた。観客と演者が一体となって声をからして歌うあの空間。スピーカーからの重低音が体中に響く感覚。ライブが終わってから何日も余韻に浸っていた。いつしかロックに魅了され、ライブ会場は私のなくてはならない居場所になった。

 しかし、それはコロナ禍によって奪われてしまった。高校生の時に行っていたライブハウスは軒並み営業停止になり、ライブを開催できるようになっても声出しは禁止。ロックライブの特徴であるバンドマンからのあおりに、観客は歓声でなく拍手で応えるというちぐはぐな状況が、いまだに続いている。

 ロックの歌詞には攻撃的なものが多い。単に過激な音楽だと思う人もたくさんいるだろう。しかしロックは他人を攻撃する音楽ではなく、自分自身を守る音楽だと思う。嫌なことがあった時、私の代わりに大きな声で叫んでくれる。自分だけの大事な領域を脅かす外敵を撃退する、強い番犬を飼っている気分になるのだ。ライブはまだ本来の形ではないが、安心感に包まれるあの居場所が元の姿に戻るまで、今日も私はヘッドホンを盾にして外に出る。【日本女子大・安藤紗羽】

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