なにコレ!? 熱力学をボードゲームで 理系学問に親しみ持って

なにコレ!?

 「理系学問の学びの楽しさを、ボードゲームを通じて感じてほしい」。こう語るのは、理系の学問をテーマとしたボードゲーム開発に取り組む、学生団体EXPlayin(エクスプレイン)代表を務める東京大工学部の新井一希さん(22)だ。8月に新作ゲーム「熱力学ワーカーズ」の製品化を実現するための資金集めをクラウドファンディングで実施。目標金額の35万円を上回る約67万円を集めた。

 2~4人で遊べるこのゲームは、高校の物理で学ぶ熱力学の「等圧変化」や「等積変化」という、気体の圧力や体積が一定の状態で起きる状態変化の概念を学ぶことができる。まずサイコロを振り、出た目の数だけ「系」というコマを、縦軸に圧力P、横軸に体積Vを取った「P―Vグラフ」という座標上で移動させる。この時、縦方向に移動させる等積変化と、横方向に移動させる等圧変化のどちらかを選ぶ。等圧変化を選んだ場合は、座標移動で得られるエネルギー(単位・ジュール)に応じた「ジュールチップ(JC)」という報酬を得ることができる。

 等積変化を選んだ場合は、その場面ではJCをもらうことはできないが、次の場面以降、もらえるJCが多くなる。入手したJCを使い、ゲームを有利に進めるためのカードを購入することもできる。このJCを一番早く80ジュール集められた人が勝ちとなる。

 このゲームを開発したきっかけは、新井さんが所属する東京大工学部システム創成学科での学びだ。同学科では、理系の知識を経営に生かすためのビジネス入門の授業があり、受講して理系の学問をテーマとしたゲームの開発と販売を事業としてやっていこうと思いついたという。そこで新井さんは理系ゲームの第1作となる「有機大富豪」を開発し、昨年4月に発売した。有機化学の反応系統図と呼ばれる分野を学べるカードゲームで、500部を売り上げた。この成功を受け、今回「熱力学ワーカーズ」の開発に至ったという。

 「とにかく使いやすさやデザインにこだわった」と語るのは、エクスプレインのメンバーで新井さんとともに開発に取り組んだ立命館大情報理工学部の堀江孝文さん(22)。開発段階で難しかったのは「ゲームとしての面白さと、学びの両立を図ること」で、試作品を文系の人にもプレーしてもらうことで、問題点を洗い出したという。

 「理系の知識と聞くと、興味のない人は近寄りがたいイメージを持ってしまいがち。ゲームを通じて理系学問に親しみを持ってもらいたい」と堀江さんは語る。新井さんは「今後も理系の用語をテーマとしたゲームなど、とにかく『理系』にこだわったゲームを開発していきたい」と意気込んだ。

 「熱力学ワーカーズ」は税込み4000円。東京ビッグサイトで10月29~30日に開催される「ゲームマーケット2022秋」と、11月18~20日に開催される東京大の駒場祭で購入可能。ネット通販は11月下旬に開始予定。【日本大・畑山亘】

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