2019/07/30 なにコレ!?

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土曜朝8時、東大生ら集う「三文会」
「何でも議論」が世界広げる

 毎週土曜日の朝8時、東京大学本郷キャンパスから歩いてすぐのラボカフェで、「三文会」は行われている。

 「三文会」とは、「早起きしてちょっと世界を広げよう」をモットーに、東京大の在学生や卒業生が中心となって開催している、朝の勉強会のことだ。毎回異なるプレゼンを聞いて、それを基に学生と社会人が一緒になって議論する。中心となって運営しているのは東大生たちだが、年齢や肩書関係なしに、誰でも飛び入りで参加できる勉強会だ。

 プレゼンも希望すれば誰でも可能。そしてその内容は実に多様だ。海洋工学を専攻しており、「海にモノを建てる」というテーマで発表した人もいれば、大好きなスパイスをテーブルに並べて熱く語った人もいた。硬い話題からクスッと笑える話題まで、幅広く扱っている。

 立教大経済学部4年の森聖菜(せいな)さんは、6月29日に、「若者の恋愛離れの原因は」というテーマについてプレゼンした。すでに韓国では広まりつつある、「2月14日のバレンタインデー、3月14日のホワイトデーに続く、4月14日は恋人のいない人のためのブラックデー」という概念を、日本でも定着させて市場を作りたい。それがこのテーマを持ってきた背景だ。「三文会の良いところは、発表者の一方通行ではないところ。発表の聞き手も、発表者と会話するかのように議論できるので盛り上がる。さまざまなバックグラウンドを持つ人がいるのも魅力」と森さんは語る。

 三文会の運営スタッフにも話を聞いた。「学生や社会人といった枠組みがないのが三文会の特徴であり、魅力」。そう語るのは、2012年に東京大大学院を修了し、現在も三文会を運営しているスタッフの一人である熱川豊紘(にえかわとよひろ)さん(33)。学生も社会人も、三文会では対等に議論できる。もちろん、学生ならではの視点、社会人ならではの視点といった違いはある。対等に議論することで、両者の視点から考えることができ、新たな発見が生まれる。

 元々三文会は07年に、起業を目指す学生たちによって始まった。その後起業だけでなくさまざまなテーマを扱うようになり、少しずつ形を変えていった。そんな三文会のこれからの目標について、運営スタッフで東京大理学部4年の谷垣桃花さんは、「まずは三文会を『続ける』こと。三文会はこれまで10年以上続いており、その時々に合った形で運営してきた。これからも、時代に沿って会を続けていけたら」と語る。少しずつあり方が変わっていった今までと同様、三文会とはこうあるべきだという考えに縛られずに、これからも時代に即した三文会が続いていけばいい。そのような思いが感じられた。

 自分の考えを発信したい人、他の人の考えを聞いて知見を深めたい人、どんな人にとってもメリットがあるのが三文会とのことだ。ついつい寝過ごしがちな土曜日の朝。そんな朝の時間の使い方をいま一度振り返ってみて、興味を持った人は三文会に足を運んではいかが? あなたの世界も、少し広がるかもしれない。【東京大・高橋瑞季】

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