就職活動を終え、卒業をかけた卒業論文も完成に近い。いよいよ「学生」という身分の終わりが近づいて来た。最近は、最後の学生気分を味わうため、コロナ禍で思うように会えなかった幼なじみとの飲み会が増えている。
以前の飲み会では、最近のはやりやたわいもない話題、大学の課題など軽い会話をしていたと思う。けれど、最近はそれぞれの将来のことを話している。ただ漠然と将来を想像した話ではなく、就職してからの生き方や今後直面する結婚など、具体的でリアルな将来を話し合うようになった。
将来待ち受けるのは、楽しみなことばかりではない。不安要素の方が多い気がする。今ニュースで流れている物価高や社会情勢の悪化、少子高齢化……。憂鬱な話題に触れた後で、友人と決まって言い合うことがある。「まだ学生でいたいよね」と。非情な社会の現実に目を向ける度、ずっと学生でいられたら――そう思う自分がいる。
けれど、来春には社会人になる。学生だからともう甘えることはできない。これからは受け身でなく、自ら社会の現実に向き合っていかねばならない。幸いなことに大学に入学した頃から望んでいた職業に就けるのだから、仕事ができる毎日は楽しみでもある。楽しみだけどどこか不安な思いで待つ「社会人」生活。春以降の友人との飲み会では、不安を克服するために、仕事で何ができるかについての話題が増えそうだ。【大正大・中村勝輝】