読見しました 「神客」に感謝(園田)

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 <読見(どくみ)しました>

 「お客様は神様です」。よく聞くフレーズだが、レジ打ちのアルバイトを始めてから、この言葉にいささか疑問を覚えることがある。投げるように商品を渡してくる人に、言葉遣いの悪い人。彼らは神様と言えるのだろうか。

 しかし、まさにその言葉にふさわしい「神客」がいるのも事実だ。私が働く店にも訪れる。性別、年齢もさまざまな神客は丁寧に品物を渡し、代金を優しくトレーに置き、感謝の言葉を述べて去っていく。常連の方ともなれば、その姿が見えただけでうれしくなる。自分のレジに来てくれたらなおさらうれしい。「これからも頑張ろう」と前向きな気持ちにさせてくれる神客へ、感謝の念を抱かずにはいられない。

 私は以前から、客として店を訪れた際は、必ず感謝の気持ちを伝えるようにしていた。客も店員も対等な関係にあると思っていたからだ。しかしある時、その考えを家族に伝えたら「客がそこまでする必要はないのでは」と言われてしまった。自分がおかしいのだろうか。そんなふうに思ったこともあったが、接客を経験した今ならそうではないと言える。

 どんなに小さな心遣いでも、相手が想像以上に大きな喜びを感じてくれることがある。私はこれからも、自分が出会えたらうれしいと感じるような客であり続けたい。大げさだと言われようと、今日もより良い「神客」を目指す。【法政大・園田恭佳、イラストも】

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