変革へ再挑戦
この夏、帰省を終えて静岡から東京へと向かう新幹線の中で、母から別れ際に掛けられた言葉に思いを巡らせていた。「変わるって勇気のいることだけれど、それを恐れずに変わってごらん、あなたなら大丈夫」。その言葉に、うん、とだけ言って新幹線に乗り込んだ。だが、本当はその意味を見いだせずにいたのだ。
思えば静岡から上京してもうすぐ1年半がたつ。一面に水田が広がる田舎で育った私にとって、東京の大学への進学は、これまでの人生のなかでもっとも大きなライフイベントと言うべき変化だった。世界の広さを肌で感じると共に、自分の存在の小ささも感じた。その中でも自分らしく頑張ろうと思っていた。
現状に満足していれば、母からの言葉をそのまま聞き流していただろう。しかし、今年成人を迎えた私には、どこか心に引っかかるものがあった。あまりの時の流れの速さに、私の中でこのまま大学生活を終わらせていいのかと思う気持ちがあったのだろう。
人生を80年としてそれを1日に例えると、私は朝日が昇り、これから何をしようかと考える頃だろうか。思い悩み、うまくいかなくても、まだやり直す時間はある。1%でもできる可能性があるならば、挑戦すべきではないか。
東京駅で降りる時、1時間前の私とは違っていた。あなたなら大丈夫。母からの言葉は、私が私自身に掛けるべき言葉だったのだ。わたしなら大丈夫。古い殻を破って新しく生まれ変わろう。【早稲田大・杉本汐音】