日芸特撮部 独自技術でオリジナルヒーロー
スーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズなど、悪と戦う特撮ヒーローの人気が男の子だけでなく、女性にも高まっている。日本大学芸術学部の学生たちでつくる「日芸特撮部」は、独自の特殊撮影技術とノウハウを生かし、オリジナルの特撮ヒーローを開発している。
日芸特撮部は今年で約12年になる。現在の部員は30人ほどで女性部員も3割いる。芸術学部は映画学科、美術学科などの8学科の学生が在籍するため、作品作りに学生の専門性を生かすことができるのが最大の特徴。「楽しくヒーローを愛する」を理念に、人々を楽しませることにチャレンジし続けていると、映画学科3年で部長の中島魁莉(かいり)さんは語る。
文芸学科4年で造形担当の川上泰生さんは「特撮部のヒーローのクオリティーの高さに驚き興味を持った」と入部の動機を話す。
入部当初はまず作品を見て部に親しんでもらう。そして秋の学園祭が近づくにつれ、スーツの造形やアクションを少しずつ始めていく。普段の活動は、オリジナルの映像制作が中心。その他児童館訪問や特撮関係者を招いた課外イベントも行っている。現在は「電脳計画エクスダイバー」という作品を撮影中だ。
このヒーローは戦隊ではなく、一人で活躍する。作品の制作期間は構想期間を含め約1年。一番時間がかかるのはヒーロースーツの造形だ。このスーツのこだわりは「デザインと機能性」。顔にあるパソコンの電源ボタンのマークが特徴だ。頭部にライトを仕込んでおり、点灯させることでより迫力のあるヒーローが演出される。スーツは発泡ポリエチレン製で、デザイン画を描き、制作会社に頼らず部員の手で作り上げるこだわりよう。1着最大5万円程度かかるそうだ。
同作品はアクションシーンが多く動きが活発。演劇学科4年で主演の中沢瞭斗(りょうと)さんは「元々、少林寺拳法の経験があるが、特撮作品やその他ジャンルを問わずアクションらしい動きを勉強している」と話す。エクスダイバーの動画作品は60分程度に編集し、動画サイトに投稿したり、ヒーローが集まるイベントで実際に披露したりしている。部員たちは、苦労は多いが応援してくれる人たちがいるからこそやりがいを感じるという。記者も特撮ヒーローの大ファン。さらなる活躍が楽しみだ。【大妻女子大・中嶋美月、写真は津田塾大・畠山恵利佳】