学生新聞特集 東京大学新聞

 首都圏の大学から集まる学生記者が毎週、取材・執筆しているキャンパる。一方で、各大学の学生新聞(キャンパス紙)でも多くの学生記者が活躍する。今回10月の新聞週間に合わせ、伝統を誇る「東京大学新聞」と「慶応塾生新聞」を取材。日々の活動から学生新聞が向き合う課題について聞いた。【まとめ、一橋大・川平朋花】


学外を意識 「話題」深掘り

 東京大学新聞、通称東大新聞は、前身の帝国大学新聞から来年創刊100周年という長い歴史と伝統を持つ。

 東大新聞は、東大に関するさまざまなニュースを発信している。文化面やスポーツ面で活躍している東大生、大学で行われている最新の研究、学内のイベントについてなど。キャンパス内や郵送で、誰でも購読可能だ。

珍しい週1発行

 東大新聞の特徴の一つに、週1発行が挙げられる。季刊や月刊が多い大学新聞の中で珍しい。毎週発行するのは苦労も多いという。しかし、編集長の中井健太さん(文科1類2年)は「週刊ということは、1週間にあったことを網羅しているということ。それが魅力につながっている」と語る。

 発行頻度以外の魅力は何か。オンライン編集長の杉田英輝さん(同2年)は「東大の外、つまり世間の問題につながる学内の問題や、学内で話題となっている問題に切り込んでいること」を挙げた。東大教授の雇用待遇をめぐる問題や、最近のもので例を挙げると、センター試験に代わる英語民間試験導入の是非といったテーマだ。実際、これらの記事は反響も大きかったという。

 そのほか学外からの反響があるテーマは、就活や勉強法についてなど。特に、秋に発行する受験生特集号は、東大を目指す受験生に向けた内容となっている。教授からのエールや、新聞部員による勉強法アドバイスが載った魅力的な紙面だ。このように、東大新聞は大学内部だけでなく、学外も意識した内容を掲載している。

オンライン版も

 しかし紙の紙面だけでは、東大関係者に読者が限定されやすい。そこで最近彼らが力を入れているのが、デジタルの「東大新聞オンライン」だ。無料で見ることができるため、多くの人に記事に触れてもらえるという。

 またオンライン版では、紙の紙面には向かない題材を取り上げることができる。受験生特集で例を挙げると、センター試験から2次試験の間の勉強法といった、具体的な内容がそれに当たる。

 大学新聞の中では発行頻度が高いとはいえ、紙の紙面が読者に届けられるのは週1度。大きなテーマに絞って記事を作るしかない。一方オンライン版は好きなタイミングで配信できるため、紙面では拾えなかったものを掲載できるという。

 そうした背景もあり、オンラインの方にも力を入れ始めている東大新聞。昨年まで、部員は紙面担当とオンライン担当に分かれていたそうだが、今年からその仕切りをなくした。それによって風通しが良くなり、よりいろいろな意見が生まれるようになった。杉田さんもオンライン編集長ではあるが、紙の紙面を担当することもあるという。

 東大新聞は変革の途中にある。学生の新聞離れが進む中、より多くの人に興味を持ってもらえる内容にしようと、試行錯誤を重ねている。今までの積み重ねによる伝統と信頼を引き継ぎつつ、新しい風を呼び込もうとしている姿勢を感じた。

 「オンライン版を発展させながら私たちが発信すべき内容を考え、話題の幅を広げていきたい」。そう語る杉田さん。学外の目を意識しつつ、どう東大らしさを取り入れるかが、発信する内容の軸になる。編集長の中井さんは、「大学内外の問題に東大生の視点から切り込んでいるのが、特異な点。紙面やオンライン新聞を通して、我々東大生に興味を持っていただければ」と締めくくった。

 現状に甘んじることなく、先を見据える東大新聞。これからどう進化していくのだろうか。【東京大・髙橋瑞季】


■東京大学新聞
 前身の「帝国大学新聞」は1920(大正9)年創刊。57年以降は「東京大学新聞」として発行してきた。60年、70年安保闘争の時も、発行を続けた。ブランケット判、週刊4ページ。発行部数約1万部。通常号は1部180円。

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