私は、周囲の人の変化を直視できない時がある。変わることは勇気のいる大事なことだと思うが、自分にはそれができないので、引け目を感じてしまうのだ。
成人式に合わせて企画された高校のオンライン同窓会でもそうだった。大学での活動や将来の夢への確かな道筋を、しっかりした言葉で語る級友たち。ビール片手に話すその仕草に、かつての面影はもはやない。「大人だなあ」。そう思うが、負けず嫌いのせいか言葉にならない。自分だけが取り残されているようで悲しく、複雑な気持ちになった。
二十歳で大人の仲間入りをするというが、私の本質は幼い頃と何一つ変わっていない。短絡的な思考、計画性のない行動、特に取捨選択ができないところからは抜け出せない。大学生活も中間地点を越そうとしている。そろそろ意識して進むべき一つの道を選び、それに向けて算段を立ててじっくり悩んでいい頃だ。
それでも、いろいろなことをやっていたい気持ちは絶えない。今、この機会を逃したらもう二度と同じことはできないかもしれないから。専攻である園芸生産の技術は深めたいし、教育にも関心がある。環境啓発のサークルもヨット部にも重点を置き続けてしまう。不自由な今の世の中でも、私の生活は十分、密だ。
いろいろ経験を積めることは幸せ。でもやはり、それだけでは大人への仲間入りはできなさそうだ。これからは少しずつ、極める道を選び、変化を受け入れたい。そうしたら、遅れてでも大人に近づける気がする。【千葉大・谷口明香里】