歩車分離、3年かけ実現 千葉大・西千葉キャンパス

分離された専用レーンを利用する歩行者と自転車の学生たち。3人は千葉大学環境ISO学生委員会構内環境班の(左から)目黒さん、杉浦さん、安済さん=千葉大西千葉キャンパス弥生通りで 記事
分離された専用レーンを利用する歩行者と自転車の学生たち。3人は千葉大学環境ISO学生委員会構内環境班の(左から)目黒さん、杉浦さん、安済さん=千葉大西千葉キャンパス弥生通りで

 授業と授業の合間に、次の目的地へ向かう学生たち。千葉大学西千葉キャンパス(千葉市)内の弥生通りの様子は、どこの大学でも見られるありふれた光景だ。その中で一つ目を引くのは、歩行者と自転車、それぞれのレーンを塗装し、分けていること。さらには花壇で隔てられており、両者の安全が確保されている。【東京大・髙橋瑞季】

 授業と授業の合間に、次の目的地へ向かう学生たち。千葉大学西千葉キャンパス(千葉市)内の弥生通りの様子は、どこの大学でも見られるありふれた光景だ。その中で一つ目を引くのは、歩行者と自転車、それぞれのレーンを塗装し、分けていること。さらには花壇で隔てられており、両者の安全が確保されている。【東京大・髙橋瑞季】


環境ISO学生委が提案

 この歩車分離を実現したのは、千葉大学環境ISO学生委員会という学内組織だ。大学と連携して学内の環境マネジメントを行う団体で、約200人で活動している。

 歩車分離企画の始まりは、2017年。西千葉キャンパスは、約40万平方メートルと広大で、校舎間の移動に自転車を利用する人も多い。そのような中、当時は歩行者と自転車の動線が交錯しており、危険な状況が生じることもあった。このままでは事故が起こると思ったISO学生委員会の学生が、歩行者と自転車のレーンを分離する企画を大学に提案。その後、同委員会の構内環境班によって、計画は進められた。

 翌年には、構内で歩行者と自転車の衝突を目撃したことがあるかなどを問うアンケートを、学生に実施した。この回答を参考にしつつ、専用レーンの区切り方や使用するテープの素材など、詳細を詰めていった。

4月から試験導入 専用レーン、花壇で区切り衝突回避

 そして、今年の4月から8月にかけて歩車分離レーンを試験導入。この期間中に、歩車分離が学生の安全に本当に効果があるかを分析したのも学生委員会だ。道路をビデオで撮影し、歩行者と自転車の通行量や、専用レーンの通行を守っている割合を確認した。

 構内環境班の一人、理学部1年、安済崚雅(りょうが)さんは「1日あたり8時間もあるビデオの録画を見るのは大変だったけれど、同時にここはこうした方がいいといった気づきを得た」と振り返る。「気づき」により改善された点として、道路を区切るための花壇の増加がある。花壇を増やしたことで、より多くの人が自分の通るべきレーンを意識するようになったという。

 彼らの地道な分析によって安全性の向上が確認され、歩車分離道路は10月に本格導入が始まった。

 しかし、課題も残る。法政経学部2年、目黒貴大(たかひろ)さんは「人通りが多い時間帯には、ルールを守らない人が多い」という。ポスターの掲示や道路での声かけを継続することで、学生の意識の徹底を期待したいと話す。

 学生生活に直結する活動を行うやりがいを聞いた。工学部2年、杉浦匡哉(まさや)さんは「活動の成果が目に見えること」だという。弥生通りを歩いていた女子学生に話を聞いた。彼女は自転車を利用することもあると言い、「特に授業開始前は急ぐ人が多く、以前は歩く時も自転車に乗る時も、衝突が怖かった。今は前より安心して通行できる」と笑顔を見せた。学生委員会の地道で綿密な活動は、成果として実を結び、学生に届いている。

 3年かけて実現した歩車分離。委員の頑張りを近くで見ることで、委員ではない学生の心にも環境づくりへの関心が芽生えるのだろう。今後はどのような活動を展開し、千葉大生の意識を変えていくだろうか。

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