2019/06/11 すたこら

逃げ道を探すな

 「君はすぐ逃げようとする節があるからね」。高校生の時、恩師から言われた言葉だ。そう思われた要因はいろいろあったようだが、尊敬する先生にそんな印象を持たれていたことがショックだった。

 大学3年生でキャンパるの運営を主導する立場のキャップに任命されてからは、恩師の言葉が頭の中で再生されることが多々あった。後輩の育成や紙面管理の仕事が自分に務まるのか不安で仕方ない毎日。いつか大きな問題を起こして、逃げ出してしまうのではないか。任期が半分すぎた頃には就活も同時並行で始まる。不器用で要領の悪い自分が両立なんてできるのだろうか。

 「もう無理だ。全部投げ出したい」。就活の不安とキャンパるの業務に追われるプレッシャーに耐えられなくなり、寝られなくなる日もあった。夜、ベッドの中であの言葉を思い出す。逃げ道を探すな、となんとか気持ちをつないだ。

 だが一人で思い悩む中で、周りの状況は好転していった。サポートしてきた後輩たちがメキメキ成長し、自分たちの力で取材をこなすように。「できることがあればなんでも手伝うよ」と、同期の仲間たちには精神的に何度も助けられた。自分の弱さを受け入れて、皆の助けを借りながら頑張っていこう。そう決めた日からは気持ちがだいぶ楽になった。

 今日で1年の任期を終え、キャップを引退する。皆の支えのおかげで逃げることなく、ここまでやり遂げることができた。今度は自分が仲間を支える番だ。【成城大・風間健】

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