「人間関係リセット症候群」という言葉をご存じだろうか。これは、築いてきた人間関係を衝動的に断ち切る行動や心理状態を指す。あまり耳慣れない言葉かもしれないが、私はまさにこの症候群を抱えていると自覚している。
思い返せば、大学に入学して間もない頃、すでにその兆候があった。私は小中高一貫校で育ち、長い時間をかけて築いた一種の村社会的な人間関係に、どこか息苦しさを感じていた。大学で出会いが広がり刺激は受けたと思う。でも、大勢の人との関係に気を配り続けることがいつしか苦痛になり、仮面をかぶっているような感覚にとらわれていた。
今は交流サイト(SNS)を通じて、私たちは簡単に誰とでもつながることができる。SNSで見える友人の華やかな生活に無意識に自分を重ね、比較してしまう。その重圧は想像以上に心をむしばむ。せっかく築いたつながりを「断つ」のはとても勇気の要ることだ。でも重圧から逃れたい気持ちが勝った時は、アカウント削除に踏み切ることもあった。
それでも私は、この行動は悪いことばかりだとは思っていない。むしろ無限に広がり続ける人間関係に、どこかで一度区切りをつける必要があるのではないか。誰と、どんな時間を共有するかを見つめ直すことには、大きな意味がある。
私はこれから、本当に大切だと思える人たちに、できる限りの時間と労力を注いでいきたい。人間関係をただ広げるのではなく、一つ一つをより深く、より濃密に作り上げていく。【中央大・朴泰佑】