すたこら 楽しんだもん勝ち

すた・こら

 昨年から語学力向上のためにフランス語教室に通い始めた。あえて高額な受講料を払ってまで、習う必要があるだろうかと何カ月も迷ったが、アルバイト代を奮発し思い切って通うことにした。

 授業があるのは平日の昼間。そのせいか、20人以上いるクラスメートのうち大学生は私だけだった。他の受講生はお年を召した方ばかり。自分は資格試験合格のために受講したが、皆さんが何を目的に学ぶのか気になった。

 いざ授業が始まると、どの受講生も時折ジョークを交えつつ、流ちょうにフランス語を話す。いつも誰かが熱心に質問するため先生との会話は途切れない。一方の私は、先生に促されても言葉がちっとも出ず、恥ずかしく感じる。

 たまたま席が隣り合わせになった、つえを持つ男性と話す機会があった。「人生楽しんだもん勝ち、やりたいと思ったら今すぐやってみるといい」。終始笑顔のその方に、自分には挑戦心が必要と助言されたように感じた。

 よくよく話すと、皆さんのフランス語を習う目的はさまざまで、中には「フランス哲学の原文を辞書なしで読みたい」とハードルが高い夢を語る人もいる。でもその夢に向かって一歩ずつ歩んでいく姿には敬意を抱いてしまう。

 人生100年時代。そう考えると人生は長く、つい物事を後回しにしがちだ。しかし後悔しない人生を送るためには、関心を持ったらすぐに行動に移すことが重要なのだと、この授業で教えてもらったように思う。【成城大・新井江梨】

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