すたこら 日本の存在感

すた・こら

 新型コロナウイルス感染拡大を阻止する渡航制限が緩和され、ガイドブック片手に街歩きする外国人観光客を多く見かけるようになった。彼らは日本をどう思っているのか、つい気になってしまう。

 この春フランスに留学しホームステイした。ホストファミリーは私を優しく迎え入れてくれたものの、滞在中ずっと私を「シノワ」(中国人)だと勘違いし、私が日本人であると言っても、日本がどこにあるのかすら知らなかった。日本は海外でも広く知られていると思い込んでいた私はショックを受けた。

日本にとどまっていると、日本はおもてなしの国や、美しい自然や歴史の国であると世界中に認知されているに違いないと思いがちだ。だが海外を訪れてみると、車や家電などで日本製品は使われているものの、日本に関するイメージは希薄だったりする。それで日本の存在感が気になるようになった。

 帰国後、久しぶりにアルバイト先の都内にある観光施設を訪れると、そこには多くの外国人が訪れていた。時に日本語が全く耳に入ってこない、国際色豊かな空間になることもある。来館する彼らはいつも笑顔だ。きっと日本を楽しんでいるのだろうと思うとホッとする。訪日経験のない外国人にとって日本はただの小さな島国かもしれない。でも訪日客が増え、良い印象を持ち帰ってくれれば徐々に存在感は増していくだろう。日本人である私としては井の中の蛙(かわず)にならぬよう、広い視野を持って自分を磨き続けたい。【成城大・新井江梨】

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