昨年の東京パラリンピックでの日本代表チームの活躍を受け、一段と注目を集める競技となったボッチャ。障害の有無に関係なく幅広い世代が一緒に楽しめることが大きな特徴だ。この競技の普及活動をしている「TOGAKUパラスポーツ」という団体がある。大学公認のパラスポーツ団体として東日本で初めて発足した、東洋学園大学(東京都文京区)の正規団体だ。活動内容や目的、ボッチャの魅力について尋ねた。
同団体は現在、学生2人、OB・顧問各1人の計4人で活動している。創設は2018年。OBの木村駿汰さん(27)=19年卒業=が、自分と同様に車いすの橋本昂典さん(22)=人間科学科4年=と春原祐弥さん(22)=現代経営学科4年=の2人が入学したことを受けて設立を持ちかけ、大学の理解と協力を得て発足したという。
ボッチャは、「ジャックボール」と呼ばれる目標球に向かって手持ちの球を投げたり転がしたりして、どれだけ近づけられるかを競う競技だ。部の活動は毎週水曜日。それぞれで目標を立て練習に励んでいる。これまで参加した大会では、19年の都障害者スポーツ大会で3位に入賞した実績がある。
力を入れているのは、より多くの人に知ってもらうための普及活動だ。特に未経験者を対象とした体験会を、設立した18年から継続的に実施している。要請があれば自治体主催のイベントに参加したり、学校に出向いたりもする。都内だけでなく、千葉県に赴いて実施したこともあるという。
体験会では、子どもにはボール遊び感覚で触れてもらい、大人とは試合を行うなど工夫を凝らしてきた。それでも東京パラリンピック前はボッチャを知らない参加者が多く、地元の文京区主催の体験会ですら集まっても1回10人程度というケースが多かったそうだ。
しかし大会後、風向きは大きく変わった。参加者は急激に増え、子どもたちからは「ボッチャの選手になりたい」という感想が、大人からは「道具を購入したい」という声が寄せられるようになった。部長の橋本さんは「体験した方一人一人が笑顔で帰ってくれる。開催してきてよかった」と話す。
ボッチャの魅力を尋ねると、橋本さんは「誰でもできる競技であること。共に生きるという共生社会を考えられると思う」と話した。OBの木村さんは「老若男女問わずできるところが一番の魅力だと感じている。また頭脳戦であるところも魅力」と語った。
しかし「障害者のスポーツ」という見方も根強く、橋本さんらはこうした先入観をなくすため、卒業後もそれぞれの立場で普及活動に力を尽くす考えだ。春原さんは「4月から特別支援学校の友人とチームを作る」と意気込んだ。【駒沢大学・根岸大晟】