【座談会】オンライン授業、一長一短

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学生「図書館使えず」「対面と使い分けを」


毎日新聞 2021/2/9 東京夕刊

 新型コロナウイルスの影響で、首都圏の大学に通う大学生の多くは2020年度、対面で授業を受けることができずに全課程を終えた。代わりに大々的に導入されたのが、パソコンなどを使うオンライン授業だ。多くの大学は来年度も、程度の差はあれ、この授業形態を続けようとしている。今年度、オンライン授業を経験してきた「キャンパる編集部」の学生たちに、同授業の是非と、改善すべき点、そして授業の今後のあるべき姿を語り合ってもらった。【司会・まとめ、上智大・沖秀都】

 ――皆さんは今年度、どのような形態の授業を受けましたか?

 A 前期・後期とも完全にオンライン。基本的にはウェブ会議システムを使う双方向型。動画などを自分の都合で視聴できるオンデマンド型も、少しあった。

 D 私もゼミ以外は全てオンライン。それもほとんどオンデマンド型だった。当初、ゼミもオンラインだったが、途中から対面授業との併用型に変更された。

 C ほとんどがオンデマンド型で、双方向型の授業はなかった。実験は対面だったが、受講生は7人に制限をかけられていた。

 B 前期はオンライン留学をしていたため、日本での授業は後期から。オンライン留学中は双方向型がほとんど。後期の授業もほとんどオンラインで、そのうち7割ぐらいが双方向型。体育の授業だけオンラインか対面か選択可能だった。

 ――オンライン授業のメリット・デメリットを挙げてください。

 A オンデマンド型の授業は繰り返し再生できるので、動画の途中で難しい言葉を調べることができ、先生の話した内容を聞き逃すこともなくなったのは良かったと思う。

 C 日中に時間がなくても夜に見られるなど、時間の融通が利くのでオンデマンド型も良いと思った。

 D パソコンがあまり上手に使えない学生ほど取り残されてしまうのではないかと思った。例えば、パソコンソフトを使用しての資料作成など。使い方が分からなければ勉強に入る以前の問題だと感じた。

 B それはそうだが、電子化で手軽になったこともあったと思う。例えばネットで資料が配布されるので、授業を欠席しても資料を入手できた。一方で、グループワークなどを進めることが難しくなってしまったのはオンライン授業の弱点だと思った。

 ――オンライン授業の試験はどうでしたか? また単位を取得する難易度に変化はありましたか?

 A リポート試験が多かった。専攻している言語の試験は長文を訳すもの。辞書の使用は可能だったが、易しくなったとは思えず、文法を正しく理解していないと解けないように感じた。

 D ネット上のアンケートフォーム(書式)を使って回答する試験があったが、本人が回答したことを担保する仕組みがないので、悪意を持った人が他人の名前で点を取ることもできてしまう。難易度では、オンライン授業によって単位取得が難しい授業と、簡単な授業の差が小さくなった気がする。そのため、「楽」という理由で授業を選ぶ人が減ったように感じた。

 ――資料の入手など、オンラインで困った点はありましたか?

 B リポート作成に必要な学術書は大学図書館の方が充実しており、緊急事態宣言が出て入構制限された際には大変困った。

 D 授業で分からないところを図書館の資料で補完していたが、現在は気軽に図書館に入れなくなってしまった。

 ――オンラインと対面、それぞれに特色があると思います。今後の理想の授業形態を教えてください。

 A 来年度はまだコロナが怖いのでオンライン授業がいい。オンラインでの課題提出や資料配布は便利なので、コロナ収束後も続けてほしい。

 C 受動的な授業はオンラインでいいと思う。対面だと、聞き逃しても戻れない。自ら受講する時間を選べるオンデマンドの方がむしろ授業に集中できると思った。

 D グループワークなどは対面。知識伝達型の授業はオンラインでいいのではないか。どちらも面白い授業、つまらない授業はあったので、オンラインが一概に悪いとは言えない。

 A ただ、オンラインと対面が同じ日にある場合、オンラインで授業を受ける場所が学内にないと困るので、どちらかに統一してほしい。

 B 構内でもオンライン授業を受けられる場所を大学が提供すべきだが、設備が整っていないと思う。

 A 一番の理想は、オンラインか対面か選択性になること。選択性になれば、1人暮らしが許されない地方の人なども東京の大学で勉強することができるようになるのではないか。

 ――ありがとうございました。


参加学生のプロフィル

A=私立大文系2年・女子

B=国立大文系3年・女子

C=国立大理系2年・女子

D=私立大文系3年・男子

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