「努力しても結果が出なければ意味がないから」
入試まであと数カ月という時期に、生徒たちに向けて先生が放ったこの一言。成績が伸び悩むなか、努力してきたことを唯一の自分の強みだと信じ、頑張ってきた私の心をえぐるものだった。そして、受験を終えた今でもこの言葉は心のどこかにずっと引っかかっている。
もちろん、結果を出すことは大切だ。社会では結果で評価されることが多い。どんなに努力をしても、入試を突破できなければ大学には入れない。社会人になってからも、仕事で高い評価を得るには、一定の結果を出すことが必要だろう。だが、結果が出なかったとき、それまでの過程は本当に無駄なものなのか。
私は第1志望の大学への合格を果たすことができなかった。しかし、苦しみながらも「最後までやりきれた」という達成感は、私の中で大きな自信になった。それに、努力を続けた過程から得たものもたくさんある。知識はもちろん、諦めない気持ちやめげない心。どれも、努力を惜しまなかったという事実があるからこそ、手に入れることができたと信じている。
とはいえ、結果を出せなかったとき、今でもあの一言がよみがえってくる。まだ心の中に、実を結ばなかった努力が無駄だったと思う自分がいる。だが、いつか自分の歩んできた道は意味のあるものだったのだと自信を持てるようになりたい。それまではこの気持ちと向き合っていこう。【立教大・明石理英子】