2019/10/08 読見

読見しました。:さらば甲子園

 「一瞬の夏、一生の記憶」。毎年夏になると甲子園のキャッチフレーズが選ばれるのだが、私はこれが一番好きだ。高校生の夏休みを象徴している気がして気に入っていた。

 高校を卒業して4年。私は、久しぶりに出場した母校の応援のため、初めて甲子園を訪れた。いつもはテレビで見ている球場を、初めてスタンドから見渡した。どでかいこの高校野球の聖地に、今年も毎試合4万人以上の人が集った。皆、卒業生であったりその学校のファンであったり、純粋に高校野球が好きであったり、立場は違う。でも試合を観戦しながら、観客が一体になっている気がした。

 敵も味方も点が入れば皆感極まって、緊迫した場面では手に汗握る。負けてしまえば泣いて悔しがり、勝てば跳んで叫んで、喜び合う。テレビ越しでは味わうことのできない臨場感。その時その場所が作りだす雰囲気。ここだけの感動と興奮を味わった。

 甲子園も幕を閉じ、すでに10月。秋も深まってきた。今年の夏も一瞬で終わったが、一生の記憶となった。来年も行きたいな、後輩よ、来年も甲子園に連れて行ってください。そう秋風に願掛けする。【東京外国語大・田中純名、イラストも】

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