好奇心を翼に
「なんでそんなに外国が好きなの?」。国際系の学部にいるからか、よく聞かれる。だがその度に答えに詰まってしまう。気づけば好きだったというのが一番しっくりくるが、それが求められている答えではないことは分かっている。
10歳の頃、2分の1成人式で話した夢は「国際人になりたい」だった。海外でも放送されていた子ども向けのテレビドラマの影響からだ。同年代の女の子が、世界的な歌手になるという話。彼女と私の共通点は同年代であることだけ。髪の色も瞳の色も全く違う。それがただ不思議で、でも面白かったことを覚えている。
大学では、旅行や研修を通じていろいろな国に飛び出してきた。アフリカに行ったとき、肌の色が違う人たちと暮らすのがどういうことかを知った。中央アジアのキルギスに行ったときは、直行便もない場所に日本人とうり二つの人たちが住む国があることを知った。同時に、海外へ行くことで日本の暮らしやすさにも気づけた。
現地で過ごしてみて、異国への憧れが消えかけたこともある。言語や文化の壁は思ったよりも高い。だが10年間膨らませてきた好奇心は少しも減らない。むしろ知れば知るほど、膨らむ一方だ。
世界は不思議なことばかりだ。世界中で、文化の違う人々が、想像もつかないような暮らしをしている。だからこそ実際に見たい、感じたいと胸が高鳴る。10歳の頃に畳の上で味わったあの感覚が、日本を飛び出す私の翼だ。そして秋、私はロシアに飛び立つ。【筑波大・西美乃里】