吹き抜ける風が心地よく感じられる今日このごろ。キャンパる編集部にも新たな学生記者が加わった。3回にわたり「今、思うこと」をつづってもらう。【まとめ、成城大・風間健】
痛みを知った「王様」の私
「王様」。10年来の友人たちは、私のことをそう呼ぶ。何でも自分で決める、ワンマンリーダー。クラス委員、部長、遊びの幹事。引き受けるのは、自分の意見を通すためだった。
大学生になって待っていたのは、喪失だった。1年前、体調の異変を感じた私に突き付けられた、難病の宣告。その半年後には、父を亡くす。
健康第一、家内安全。そんな「普通の幸せ」に接して思い返すのは、入院生活の不安、冷たくなった父。
初めて味わった無力感。「王様」にはほど遠い。社会的には、私は「弱者」だと思い知った。
失ったものの大きさの中で、気づきもあった。つらい、悲しい、むなしい。負の感情に、どう寄り添うか。教えてくれたのは、10年来の友人たちだった。彼らは何もしない。ただ、出会った時と同じように無駄話をするだけ。それで十分だ。
彼らは今も、私を「王様」と呼ぶ。力はいらない。痛みを知ったぶん、痛みに寄り添いたい。そんな王様に、果たしてなれるだろうか。【東洋大3年・佐藤太一】
書きたい、もう逃げない
キャンパる編集部に入って約4カ月。まだまだ慣れず、試行錯誤の日々が続いている。
つい先日、原稿のやりとりをしていたときのこと。予想以上の指摘が飛び交った。「文章が堅苦しい」「伝えたい内容がよくわからない」。しまいには、自分の確認ミスで掲載の予定を飛ばしてしまうまでに。このまま活動を続けるのは周りに迷惑がかかるだけ。完全に挫折した私は「もうやめます」と先輩に一言残し、連絡を絶った。
しばらくして携帯を開くと、編集部の仲間から何件もの励ましのメッセージが届いていた。「一緒に頑張ろう」。自分のために根気強く付き合ってくれる仲間がいる。今まで自分が書けないのを言い訳にしていたことが情けなく感じられた。またキャンパる部員として活動したい。その思いからもう一度向き合うことを決意した。
一度逃げてしまいそうになったが、もう逃げない。もっと記事を上手に書けるように努力するぞ。【大妻女子大3年・中嶋美月】
仲間との楽しい食事知り
大学生ともなれば、友人たちとの食事や飲み会の機会が増えてくる。お互いの近況報告をし合ったり、懐かしい思い出話に浸ったり。
楽しい日常の一コマであるが、私は他人との食事があまり得意ではない。食べることと話すことを同時に楽しめないからだ。
昔からおなかを壊しがちで、頻繁に胃腸に爆弾を抱えているような気持ちになる。緊張状態が続くと、気の置けない友人にさえ思い通り言葉が出てこない。会話を楽しみたい半面、常に胃腸を意識してしまう自分にいら立ちを覚えることもしばしばだ。
しかし、他人との食事は豊かなコミュニケーションを育む場。一度の食事だけで仲が深まったと実感することも多い。「これおいしいね」。そんな一言から会話が膨らんでいく。落ち込んでいる友人に笑顔が戻るとき、それは食べものを前に話しているときではないか。
こうした経験から、今は食事の場を増やしたいと思う。緊張を打ち破るほどの楽しさを、そこに求めて。【東洋大2年・荻野しずく】