すたこら:理想と現実

 白い光が幕の裾からこぼれている。聞き覚えのある曲とともに幕が上がる。先日ある女性シンガー・ソングライターのライブに行った。スタンドの前から3列目でみる憧れの人は真っ白な光に照らされていて思わず涙があふれそうになった。周りにいるバンドメンバーの表情までありありと見える。彼らが舞台の上から見る景色はどんなに素晴らしいものだろうか。みな生き生きとして体を存分に動かしながら音楽を表現する姿は、心に来るものがあった。「こんな大人になりたい」

 中学生の頃は、テレビで見ていた青春ドラマの世界を夢見て、早く高校生になりたかった。高校生になると、つらい受験を乗り越えれば校則なんて無い自由な生活があるとわくわくした。それに比べて今はどうだ。社会への一歩からは遠ざかりたいと思うばかりだ。なぜだろう。

 キラキラした社会人が活躍する楽しそうなドラマがあったっていいのに。想像する未来は満員電車に揺られ、顔が疲れ切ってしまっている。そんな気持ちの中でみた彼女やバンドメンバーの姿は理想に思えた。華やかな装いの裏には壮絶な努力や苦しさだってあるだろう。それでも舞台の上でそんなことを忘れさせるくらい輝いていた。

 これまで理想と現実のギャップに悩まされたように、社会人になったとき、描いていた世界はないと思い知らされるかもしれない。そんなものでもいい。今は彼女のように生き生きとした社会人を夢見たい。【法政大・平林花】

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