なにコレ!?:天祖神社歌占プロジェクト おみくじで神話に親しむ

 初詣で今年1年を占うおみくじを引いた人も多いことだろう。東京都板橋区にある「天祖(てんそ)神社」では、「天祖神社歌占(うたうら)」という、いっぷう変わったおみくじを引くことができる。同神社と、成蹊大学(東京都武蔵野市)でおみくじの研究をする、平野多恵教授と学生たちによる共同プロジェクトで制作しているものだ。

 歌占とは、和歌による占いのこと。かつて和歌は人が神とやりとりをするために用いられていた。神は和歌を用いてお告げを示すとされ、みこなどがその和歌を解釈していた。現在ではあらかじめ解釈がされ、吉凶を示すかたちのおみくじが一般化している。

 「天祖神社歌占」は、吉凶は示さず、天祖神社にまつわる神々に関する和歌とその歌のメッセージが書かれている。吉凶だけにとらわれず、和歌の内容に注目してほしいとの思いからだ。

 室町時代からの作法に準じて、歌占は行われる。まず、「自分にふさわしい歌占が引けるように」ということを願った呪文の歌を唱える。そして目を閉じ、弓の弦に結びつけられた短冊のうちから一つを選ぶ。その短冊には天照大御神(あまてらすおおみかみ)などの神々の名前が書かれており、その神にまつわる和歌が書かれたおみくじを受け取るというものだ。

 和歌に詠まれた名場面やキーワードはプロジェクトに参加する同大の大学院生が選び出したもの。それを平野教授とともに和歌に昇華させた。

 昨年12月27日には、新しく歌占に追加された和歌の奉納祭が天祖神社で行われた。今回追加されたのは、「倭建命(やまとたけるのみこと)」と、「おいぬさま」の和歌。同神社の宮司を務める小林美香さんが宮司を兼務する「御嶽神社」(板橋区)にまつられる神々だ。それぞれ、倭建命が敵に火を放たれた際に草薙(くさなぎ)の剣で火のついた草をないで逃れた場面、道に迷った倭建命をおいぬさまが導いた場面を描いた歌が歌占に加わった。

 宮司の小林さんは「これを機会に神話に親しんでほしい。学生の方々が一生懸命に頑張ってくれて、神様もよろこんでいるのでは」と笑顔で語った。

 記者も歌占をした。呪文の歌を唱え、目を閉じると自然と身が引き締まる。縁があったのは月の神である「月読命(つくよみのみこと)」。歌占には、「月読の夜のまもりぞくまもなき光を四方の海にうつして」という歌に、「心が乱れたときは月の輝く穏やかな海を思い浮かべ、先のことを見据えながら一日一日を丁寧に過ごすとよいでしょう」とのメッセージ。歌占の後には、縁のあった神様のところにお参りができる。

 あなたも年の初めに、ここでしか引けない、特別なおみくじはいかがだろうか。【東洋大・佐藤太一】

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