2019/03/26 なにコレ!?

学生芸人お笑い団体戦「NOROSHI2019」 面白さ追求、夢舞台で全力

 全国一面白い大学サークルを決めるお笑い団体戦「NOROSHI2019」の決勝戦が学生にとって夢の舞台、ルミネtheよしもと(東京都新宿区)で4日、行われた。学生芸人たちの熱いステージを取材した。


 「それではどうぞ!」。人気お笑いコンビ、ジャルジャルの司会に合わせて次々と繰り広げられるお笑いライブ。各サークルを代表する学生芸人がチームを組み、漫才・ピン芸・コントの3種目で競う。第5回となる今大会は168チームが参加し、予選、準決勝を勝ち抜いた8チームが決勝に出場した。

 「年々レベルが上がっていますね」とジャルジャルが絶賛するように、出演者はプロ顔負けの面白さ。ボケとツッコミの息が合った表情豊かな漫才。音響、フリップなどを駆使して一人芝居とは思えないほど笑いを取るピン芸。コントでは型破りすぎる展開や高い演技力に驚かされた。

 見事優勝したのは日本大学生物資源科学部落語研究会のチーム「ガニ股ガニ」。「雰囲気に注目してください」と森山理喜さん(同学部4年)。その言葉通り、森山さんはピン芸人として独特な雰囲気を醸し出すキャラクターを演じ、強烈な印象を残した。他のメンバーも表情の変化やテンポのいい漫才で観客を沸かせる。極め付きは、森山さんの音響に合わせた大胆なポージング。観客も抱腹絶倒のステージだった。

 優勝後のインタビューで「本当に奇跡です」と森山さん。当初は弱小チームで、同大会に出場することすらためらっていたという。佐藤大介さん(同大同学部4年)も「4年生の最後にこのメンバーでやれてよかった」と喜びを語った。

 NOROSHIは大学お笑い界を盛り上げようと、学生主体で始めたお笑い大会「大学芸会」の団体戦が前身。チーム対抗戦という企画の新しさが注目され、15年からは有志スタッフ「大学芸会」に加え、よしもとクリエイティブ・エージェンシー、サークルアップが共催している。「口コミで一般のお笑いファンの観客も増えてきた」と大学芸会代表の浜田萌子さん(慶応大4年)。大会の盛り上がりを実感する。

 知名度向上は、大学お笑い出身のプロ芸人の活躍によるところが大きい。芸歴5年以下にもかかわらず、お笑いレース入賞やメディア出演など過去の出場者が各所で健闘。それに付随して舞台裏では、よしもとやプロの芸人が学生にスカウトの声をかける姿も。同大会での活躍がプロへの登竜門になりつつある。

 ゲスト出演した今注目の若手コンビ、魔人無骨も大学お笑い出身だ。学生時代は16、17年の同大会にも出場。ボケ担当の高比良くるまさん(24)は「自分らの漫才はそりゃ調子良かったんですけどね。ピン芸人がウケなくてね」と、決勝進出がかなわなかった当時を笑いながら振り返る。「今出たらもう勝てないですわ」と今大会の確かな実力に脱帽した。

 そんな大学お笑いの魅力とは。「彼らは面白いと思ったものを全力で追求するんですよね」と浜田さん。枠にとらわれない自由な発想は学生ならでは。またプロと違い、大学お笑いの観客は学生が多い。同世代だからこそ共有できる、その場限りの笑いは強い。

 大会前には「自分たちも楽しみたい」と語った個性豊かな学生芸人たち。その一瞬にかける熱量や、チームで戦ってきた約1カ月間の日々が、彼らをステージ上で輝かせるのかもしれない。「そろそろNOROSHIブームきますよ」と高比良さん。彼らのこん身のお笑い、侮るなかれ。【上智大・川畑響子、写真は津田塾大・畠山恵利佳】

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