すたこら あの時の後悔

すた・こら

勉強の内容は全く頭に入らなくても昔のなんてことないことは覚えている。そんなこと、よくあるんじゃないだろうか。私の場合、その内容はなぜだか後悔したことや後ろめたいことが多い。良い機会なので、そのうちの一つを吐き出してすっきりしてしまいたいと思う。

 小3の時、家に麻雀(マージャン)ブームが来た。両親と兄と私の4人家族の我が家は、週末になると音楽を流しながら卓を囲んだ。ある時、最初に配られる牌(はい)を並べると、草書の漢字のものばかり。慌てて初心者向けの説明書を見ると、「国士無双」という高得点の役に似ている。一気に緊張が走る中、あと少しというところで兄が先にあがってしまった。

がっかりしながら卓上に残った牌をめくり、ほしかった牌を見つけた。牌を手に悔しさをかみ締めていると、兄のあがり手は無効と判明し、そのまま続けることになった。私は慌てつつも、もしかしたらと思ってその牌を元とは違うところに戻したのだ。運良く私の物になったその牌で国士無双を完成させると、両親が「おおっ!」とどよめいた。麻雀好きの祖父からも電話で激賞された私は、きれいに並んだ牌と一緒にアルバムの写真に納まっている。

 あの時の周囲の反応と反比例するように胸に広がる後ろめたさと、少しのうれしさが交ざった複雑な気持ちは、今でも不意に思い出す。やっぱり直接は言えなかったのでここで打ち明けてしまいたい。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、あの時実はズルしていました。ごめんね。【日本女子大・大牛愛子】

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