すたこら 母の幸せ作り

すた・こら

「生きるために食べよ、食べるために生きるな」というソクラテスの格言がある。しかし、私は「食べるために生きている」と断言できるほど、母の料理が好きだ。私の母は専業主婦で、毎日品数の多い、おいしい料理を作ってくれる。最近になって、私は母から「ご飯を作るのが面倒だな」とか、家事に関する愚痴を一度も聞いたことがないと気がついた。

 母がなぜ不平不満をひと言も言わないのか、考えてみた。その答えは、母の愛読書にあった。渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」だ。母に勧められて以来、私の愛読書にもなった。渡辺さんはこの本で、自分の幸せは環境に左右されるものではなく、自分の行動によって自分自身を幸せにし、周囲の人々も幸せにすることで得られると書いている。

母にとっての「置かれた場所」は家庭である。母は常々、家族が幸せに過ごせることが自分の幸せだと話し、家族を献身的に支えている。そして私たち家族も、母に幸せにしてもらっている。

 これまでの人生を振り返ってみると、私は、自分が望んだ環境に身を置くことができているのに、毎日愚痴ばかりだ。この先、社会人になってからは、配属などで希望がかなわないこともあるだろうし、今後、自分にとっての「置かれた場所」が何になるのか、想像もつかない。それでも、どんな環境に身を置くことになっても、母のように自分の手によって自分自身の幸せを作り出したい。そして、周囲の人のことも幸せにできるようになりたいと思う。【上智大・古賀ゆり】

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