私は兄が2人いる影響で、ゲームに囲まれて育った。幼稚園児のころから、2人が楽しむゲーム画面を見つめていた。私自身は兄ほどゲームに夢中だったわけではないが、一緒に対戦したり、鮮やかなプレーを見たりするのが好きだった。
そんな私も高校生になってからは、あるRPG(ロールプレーイングゲーム)にのめりこんだ。はじめてのフィールドに足を踏み入れる高揚感や、難しいエリアを攻略した時の達成感は格別だ。4年前、続編が2023年に発売されると聞いた時には胸が躍った。
その続編は数カ月前に発売され、次兄がすぐに購入した。ところが、あれだけ待ちわびて、いつでも遊べる状態にあるのに、なぜか一向にやる気が起きないのだ。思い返してみると、ゲームをめっきりしなくなったのは昨年、長兄が仕事の都合で実家を出てから。ゲームは家での話題ではなくなっていた。
飽きっぽい性格の私には、これという趣味はない。唯一、ゲームが趣味に近い存在だったのだが、ゲームが好きというより、それを通じて兄たちと一緒に盛り上がったり、感想を語り合ったりする時間が大切だったことに気づいた。慣れ親しんだものを失ったようで悲しい気持ちもあるが、それと同時に、自分が大切にしてきたものもはっきりした。無趣味だと焦らずに、自分が心から楽しめるものをゆっくり見つけていきたい。そして、かけがえのない時間を共にしてくれる人への感謝を忘れずに日々を過ごしたい。【成城大・中薗三奈】