学生記者、世界に発信 「性的少数者」題材、英字サイトに

トップ

 大学生が主人公の紙面「キャンパる」。3月まで紙面では夕刊(東京・西部本社版)掲載だったが、この4月から朝刊に活動の舞台を移すことになった。新入生を迎えるこの時期は、各大学で学生団体やサークルによる新入生歓迎・勧誘(新歓)活動が本格化する。我がキャンパる編集部もごあいさつを兼ねて、世界に羽ばたく学生記者の活躍ぶりや活動内容を紹介し、新入生はもちろん、自分の居場所を見つけたい上級生にもアピールしたいと思う。【明治大・奥津瑞季】

今年2月に開催したキャンパる卒業生との親睦会。歴史と伝統の重みを感じさせてくれる貴重な機会だった=国士舘大・太田響撮影
今年2月に開催したキャンパる卒業生との親睦会。歴史と伝統の重みを感じさせてくれる貴重な機会だった=国士舘大・太田響撮影

英訳されたとある記事

 2022年度には、従来の殻を破る画期的なできごとがあった。22年9月13日付の「キャンパる」に掲載された「『変化が怖い』乗り越え トランスジェンダー女性受け入れ」の記事が英訳され、英字サイト「The Mainichi」から世界に向けて発信されたことだ。

 記事は、日本女子大学をはじめとする国内の女子大学が、社会の変容に合わせてトランスジェンダー女性の受け入れに動き始めている姿を伝える内容。執筆したのは、中村勝輝さん(当時大正大4年)だ。

 中村さんには、LGBTQと総称される性的少数者の友人がいる。そのせいもあって、以前からジェンダー問題や性的少数者への偏見や差別の問題に関心があった。そして就職活動をしている中で、24年度からトランスジェンダー女性の受け入れを目指す日本女子大の取り組みを知り、ぜひ取材したいと思ったという。

 記事を書く段階では「性の多様性や性的少数者の権利について社会の理解が進んでいないと感じている。その中で、いかに読者の納得が得られるかを考えながら文章を書くことにかなり苦労した」と話す。

英訳前に「キャンパる」に掲載された記事を示し、ほほえむ中村さん=本人提供
英訳前に「キャンパる」に掲載された記事を示し、ほほえむ中村さん=本人提供

 学校側の受け入れ方針に戸惑う在校生などにきめ細かく配慮しつつ、性自認を尊重する時代の変化にいち早く適応しようと試行錯誤する女子大。そのリアルな姿を学生目線でとらえた記事は、紙面掲載に先立ち発信されたデジタル版記事で注目された。そして、日本の注目ニュースを英文で配信している英文毎日編集部から、英訳紹介の話が寄せられた。

 自分が書いた記事が英字サイトに掲載されることを聞いた時、大いに喜んだという中村さん。「性的少数者の問題を考えるきっかけになってほしいと願って取材し、執筆した記事が国内にとどまらず、世界に向けて発信されることとなったのはとても誇らしく思う」と話した。

 この4月から社会人になった中村さんはまた、「日本全体で性的少数者への理解がより深まることを強く願い、これからも自分にできることを模索していきたい」と語った。

コロナ禍以前の姿を取り戻したい

 「キャンパる」は、1989年2月に毎日新聞夕刊で「創刊」された。「キャンパる」とは、「キャンパス」と「パル」(仲間)を足した造語だ。

 取材し、記事を書くのは、キャンパる編集部に所属する学生記者。大学の垣根を越えて集った学生が毎年、20人前後在籍し、毎日新聞の記者である編集長とともに運営している。

 学生記者は毎週1回、編集会議を行い、記事化したいと思う話題の提案や採用するかどうかの決定を、自分たちの手で行う。編集長は運営の助言や記事添削など、サポート役に徹している。創刊以来34年間、このスタイルをずっと続けているのが大きな特徴だ。

 2020年度に新型コロナウイルス感染が急拡大し、東京本社での会議や取材はオンラインに切り替わるなど大きな制約が出た。しかし逆境にめげず、知恵を出し合って紙面掲載を続け、危機を乗り越えた。紙面を飛び出し、記事のデジタル配信にも乗り出した。

 22年度は新歓行事を一部復活させ、キャンパる卒業生との親睦会も3年ぶりに対面で開催した。23年度は、こうしたタテヨコの交流をさらに活発化させ、コロナ禍以前の姿を取り戻したいと考えている。

 キャンパるではさまざまなことに挑戦でき、自分の興味を深めることができる。また、たくさんの人と関わることができ、自分自身の成長につながる場所でもある。私たちと一緒に紙面を作ってみませんか? 入会をお待ちしています!

学生記者を募集 どなたでも歓迎

 キャンパる編集部は、2023年度の学生記者を募集します。大学生であれば、学年を問わず参加可能です。記事を書いてみたい方、自分の思いや考えを活字にしてみたい方、写真やイラストに興味がある方など、どなたでも歓迎です。コロナ下でも士気高く、元気に活動を続けてきました。ここで出会う仲間とは、学年に関係なく仲良くなれますよ。ぜひチャレンジしてください。問い合わせ、参加希望はcampal@mainichi.co.jpへどうぞ。

PAGE TOP