【聞いてみました】コロナ禍の卒論事情 オンラインゼミ、孤独な闘いも

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 今春卒業予定の大学生は、新型コロナウイルス流行下で卒業論文・卒業制作を仕上げる初の学年となった。オンライン授業の導入、大学施設の利用制限など学習環境が激変する中、学生たちは学びの集大成である卒論・卒業制作にどう取り組んだのか。キャンパる編集部が全国の大学生を対象に行ったアンケートの回答からは、一人一人の苦労と奮闘が見えてきた。

 卒論・卒業制作の執筆、制作ペースについて尋ねたところ、回答者54人のうち「計画より遅れた」のが32人、「計画通り」が18人、「計画より余裕をもって進められた」のが4人だった。

 計画より遅れた理由には「同期生と会う機会が減り、モチベーションが下がった」(筑波)、「現場での取材ができなかった」(慶応)など、対面の交流が減った悪影響が多く挙げられた。また「コロナ禍の影響で就職活動が長引いた」(法政)ため、卒論への着手が遅くなったという人もいた。

 逆に、コロナ禍でも計画通り進められた人は「3年生の時から土台を作っていた」(日本)など、早めの行動が奏功した。「テレワークの環境を整えたビジネスホテルの利用」(慶応)が効率的で、計画より早く進んだという人もいた。

 大学施設の利用制限の影響については「悪影響があった」が31人、「好影響があった」が1人、「好影響、悪影響双方あった」が11人、「影響なし」が9人、「不明」が2人だった。

 悪影響は「貸し出し禁止の本の閲覧に困った」(東京女子)、「利用申請の手続きが煩雑だった」(慶応)、「勉強の環境が整わなかった」(筑波)など多岐にわたった。

 一方、「実験室に一度に入れるのは、教授と学生1人に制限されたため、納得するまで実験ができた」(立教)という思わぬ利点も。また、本の長期貸し出しや郵送での貸し出し・返却といった対応を評価する人は多かった。

 ゼミのオンライン化については「先生との仲が深まらず気軽に相談できなかった」(信州)、「周りの進捗(しんちょく)状況が分からず不安だった」(津田塾)といった声が寄せられた。

 卒論・卒業制作の提出方法は「オンライン」が34人、「手渡し」が17人、「郵送その他」が3人だった。

 オンライン提出は「実家から提出できた」(法政)など、利便性の高さが好評だった。一方、「簡単な分、提出した実感がなくて不安だった」(同志社)、「達成感がなかった」(慶応)という人もいた。

 手渡しの提出には「面倒だったが、同期生や教授に会えたのは良かった」(東洋)という声が多かった。

 コロナ禍での“孤独な闘い”に対応するために工夫した点も尋ねた。モチベーションの維持には「チェックシートの作成」(千葉)や、「友人とのこまめな連絡」(早稲田)が効果的とのこと。「借りたい本のリストを事前に作った」(上智)など、計画性も重要だ。

 記者も4年生。アンケートを通して“戦友”たちの苦労に共感し、工夫に驚き、そして勇気づけられた。【慶応大・瀬戸口優里、イラストも】

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