決意
就活を終えた友人たちが、来る夏休みの話に花を咲かせている。私もタイや西日本への旅に胸を躍らせている……はずだった。6月上旬に分かった、第1志望のマスコミの不合格という結果。第2の選択肢として残していた別業種の会社にすぐに心を切り替えるつもりだった。しかし「本当にいいのか」と問いかけてくるもう一人の自分がいた。
18の頃に初めて抱いた記者になりたいという夢。就活を始める頃には自分には向いていないと、諦めていた。他の業種を見て回る中、ずっとどこかに違和感があった。1月、キャンパるの取材で東日本大震災の被災地・福島に向かったのは、諦めきれない気持ちにケリをつけるためでもあったと思う。
気づいたら取材がやめられなくなっていた。3月の記事掲載後も、毎月のように福島に向かった。農家の本音、町役場の職員の思い、原発の廃炉作業員の葛藤。直接向き合わなければ決して知り得ない人々の思いに触れたい、伝えたい。衝動的な何かが私を突き動かしていた。
第1志望の不合格を知った1週間後、また福島に向かっていた。浪江町から福島市に避難し農業を始めた人々に出会う。故郷に戻ることのできない悲しみを胸に、それでも故郷を伝えようと奮闘する姿。「忘れないでほしい」。その声に向き合うことを、諦めたくない。
回り道をしてしまった。でも、その途中で出会った人々が進むべき道を教えてくれた。記者を目指し、就活を続ける。【一橋大・梅澤美紀】