第102回箱根駅伝へ意気込み 予選会1位通過、中央学院大に注目

箱根駅伝取材班
箱根駅伝に向け「1年間かけて追求してきた各区間後半の粘り強い走りを見せたい」と意気込む川崎監督=千葉県我孫子市の中央学院大で、早稲田大・竹中百花撮影

来年1月2、3日に行われる第102回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)。同駅伝で毎年、密着取材を行っているキャンパる編集部は今回、予選会を1位通過した実力校の中央学院大学に注目した。コーチ時代を含めると40年間にわたって同校駅伝チームを指導してきた川崎勇二監督(63)、そしてチームを支える石橋楽人主務(21)にチームについて語ってもらった。

「目標」目指す過程に意味 川崎勇二監督

同大学駅伝チームをコーチとして7年、監督として33年指導してきたのが川崎監督だ。学生の意見を尊重し「頑張らせるときは頑張らせるが、無理はさせずに、基本はおなかいっぱいにしない」という指導法を取っていると言うが、それは自身の長距離選手時代に出会った2人の恩師の影響を受けているという。

兵庫県の報徳学園高校時代の監督は、精神的な強さを重視する、いわゆる根性論的指導者だった。いつ何時も自分本来の力を出せるようにと、合宿時に夜中に起こされ1000メートル走らされたり、正月に寒中水泳をやらされたり、「突拍子もないことをよくやらされた」という。しかし順天堂大学に進むと一転してデータ重視の指導を受けた。

実力があればデータ重視の指導というのは有効だが、精神的なたくましさを身につけるということでは根性論による指導にも良い点があったという。「違うタイプの指導者に巡り合えたことは、今の自分にとって非常に宝になっていて、それがあるから今もやれている」と語った。

また、体育方法学を専門とする教員の立場を生かして「学生のうちに成績を残すことに注視しすぎず、大学は通過点と捉えて指導している」と語る川崎監督。「勝つに越したことはないが、できないことをするのではなく、背伸びをしすぎない目標を立て、それを目指す過程に意味がある」という。何より監督自身がそうした過程が好きだとほほえんだ。

チームには高校時代に主要大会で実績を残した選手はほとんどいない。しかし入部した“無名”の部員たちは年次を重ねるごとに、着実に確かな実力をつけていく。

就任時には駅伝界でほとんど無名だった同校だが、箱根駅伝では監督就任2年目の第70回大会(1994年)で初出場を果たし、第84回大会(2008年)には最高順位3位を記録した。今回で本大会出場は25回目、3年連続の出場と確実にその名を全国にとどろかせている。

今年10月の予選会の目標として、選手たちは3位通過を掲げていた。その目標を上回る1位での通過という結果に、選手たちは驚きと、本番に向けたプレッシャーを感じた様子だったそうだ。ただ監督は、「1位通過という成功体験ができてよかったのではないか」と振り返った。

箱根駅伝において、これまでどの区間も後半の失速が課題だったという。出だし1キロは好調だが、その後は失速が目立っていた。この1年間は後半の粘り強さを徹底的に追求してきた。レースでは各区間の後半の走りに注目してほしい。

また予選会に続き、本戦当日のオーダーを学生にも考えさせているそうだ。「学生が今どう思っているかが大切」で、監督と選手の意向が合致するのが、チームとしていい状態だという。チームの目標はシード権(総合10以内)の獲得。「悔いなくやってほしい。ただそれだけだ」と熱を込めて語った。【立教大・宇野美咲】

速さよりも「タフさ」追求 石橋楽人主務

取材に答える石橋さん。YouTubeなどの発信にも力を入れているという=千葉県我孫子市の中央学院大学陸上部寮で、立教大・宇野美咲撮

主務の石橋さんは同大のある地元の千葉県出身で、駅伝競技は中学時代に始めた。同大入学後も選手として入部したが、今春からは「人手不足でもあった」という主務として選手を支える道を選んだ。

 今は練習時の選手のタイム計測から、外部とのメールのやりとりなど事務的な作業までを幅広く担う。多くの人と接する仕事だが、もともと「元気なタイプ」で、「人との接し方では困らなかった」という。

同大は今秋の予選会をトップ通過し、3年連続25回目の箱根駅伝本戦出場を決めた。「実は自分たちでもビックリした」というトップ通過だが、その原動力は選手個人の意識の高まりにあるという。

今年はチームとしての目標の立て方にも違いが表れた。前回は、箱根駅伝本戦で5位以内という高い目標を立てたが、結果は14位だった。今回は達成できる水準に重きを置いている。全日本大学駅伝の本戦出場、箱根予選会を3位以内で通過するという目標はいずれも達成した。

その一方、8位以内のシード入りを目指した全日本大学駅伝の本戦は15位と「課題が見えた」と話す石橋さん。「箱根ではミスなくつなぎ、シード権獲得(総合10位以内)を」と意気込む。

「今年は速さよりも強さを求めてきた。ケガなく本番を迎え、悪条件でも走れるタフさという意味での勝負強さ。今年のチームにはそれがあると思う」。そう語る言葉は力強かった。【東洋大・今井琉生】

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