コロナ禍で失われた対面による学習機会を取り戻したい。東洋大社会学部の学生のそんな願いに基づく盲導犬歩行体験会が、昨年11月16日、同大白山キャンパス(東京都文京区)で行われた。
イベントを立案したのは、同学部社会福祉学科で社会福祉学総合演習を履修した2年生のグループ。同演習では、産学連携による社会福祉活動の実地体験を行ってきたが、2019年度を最後に、対面での実施が見送られていた。
同グループの学生たちは、地域の方や他の学生と直接関われる機会を得たいと体験会を企画。学生たちの熱意に、コンタクトレンズ製造販売会社のシードが応える形で連携し、公益財団法人アイメイト協会の協力のもと実現した。同協会は「アイメイト」(盲導犬)の育成と視覚障害者への歩行指導を通じて社会参加促進に取り組んでおり、シードも同協会への10年以上の寄付活動などを通じて視覚障害者の社会的自立を支援している。
体験会には、同グループの呼び掛けで集まった学生36人が参加した。参加者からは「目隠しして歩くのはとても不安だった。時間をかけて盲導犬との信頼関係を築く努力が必要だと分かった」という声が上がった。
「慣れない企画書作成や会場準備など苦労があったと思う。しかし学生は社会福祉だけでなく社会に出てから必要な技能も身につけられた」と同演習担当の岡安朋子助教は話す。23年度も学生主体の対面イベントを産学連携で行う予定だ。体験会をサポートしたシード広報・SDGs推進室の及川智仁佳さんは「対面活動は誰かと感情をシェアできることがメリット。学生は企業が社会貢献をする重要性も理解できたのではないか」と話した。【日本大・村脇さち】