思い通りにいかなかった最終面接の帰り道。ジトッとした空気がやけに重い。都会の人混みが好きではなくて、逃げるように電車を乗り継ぎ、お気に入りの店が点在するなじみの駅へ。いつか入ろうと決めていたカフェに、リクルートスーツのまま立ち寄った。
月替わりで出される創作パフェは「ライチのパフェ」。グラスから見える淡い緑や白のアイスが目に涼しい。サンショウや春菊を練り込んでいるらしく、ほろ苦くて爽快。ライチやナタデココも口の中ではじけて楽しい。ただ、頼んでから「面接帰りにこのパフェはぜいたくすぎたかも」と思ったが、後の祭り。あっという間に平らげた。
悔しい気持ちを忘れるために選んだぜいたくのはずだったのに、口に運ぶそばから面接の場面がフラッシュバックする。面接官の目がギロッとして怖かったこと。思いがけない質問にしどろもどろになったこと。他の選考では難なく説明できていた志望動機さえ、詰まってしまう始末。後悔ばかりの一日だった。
後日。手応えの無さとは裏腹に、その企業から内定通知が届いた。来月には内定式を迎える。あの時、沈んだ気持ちと一緒に飲み込んだパフェのほろ苦さが今や懐かしい。この先困難にぶつかるたび、たどたどしくも懸命に思いを伝えた日のこと、そしてパフェの味を思い出すだろう。【上智大・川畑響子、イラストは同・古賀ゆり】