心に響いた言葉をメモしている「語録」と名付けたワードのファイル。最近、パソコンに保存したそのファイルが10ページ、文字数では5000語を超えた。この語録には、私の心の中に大切にしまっておきたい言葉を、自分なりの解釈とともに書き出してある。
中でも一番のお気に入りは、「願いは現実と理想の歪(ゆが)みから生じる」。大学の教授の言葉がきっかけとなって思いついたこの言葉には、“現実に満足していなくとも理想がなければ(願いは)生まれない”という解釈が添えられている。この言葉が好きなのは、どこか生きていく上で大切な核心を言い当てていると感じたからだ。
大学の帰り道、ぼーっと自分の心の中をのぞいてみる。そうすると自分の中には、今まで経験してきたさまざまなことから感じ取った、本当にたくさんの言葉が詰まっていることに気が付く。それらを時間をかけてろ過し、整理して語録に書き込む。けして人に見せることはないけど、いろいろな視点であふれるその語録は、とてもカラフルに感じられる。そして明るい色だけではないけれど、自分のためだけの澄んだ色合いの言葉をたくさん持っていることに、少し誇らしい気持ちになるのだ。
生きることに前向きな気持ちにさせてくれる濁りのない言葉を、これからも集めていきたい。【東京女子大・津田萌子、イラストは成城大・新井江梨】