写Now コロナ下の大学、変わる日常 慣れればスッキリ

一方通行の順路指示に従い、それぞれの学び場へ向かう大正大学の学生たち 写Now
一方通行の順路指示に従い、それぞれの学び場へ向かう大正大学の学生たち

 東京都豊島区の大正大学では新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて、2021年4月ごろからキャンパス内の移動を、正門を起点にして時計回りに一方通行とする独自のルールを設けている。コロナ以前は学生が自由に行き交い、談笑する光景が至る所で見られた。しかし適用後はマスク姿で、動線を分けるコーンに沿って粛々と教室を移動する日々。大勢の学生がいても、学内は不思議なほど静けさに包まれている。

 同大総務部総務課の高瀬敏康さん(42)によると、同ルールを導入したのは、第一に通行時のすれ違いによる接触を避けるため。第二に学生で混雑するスペースを作らないようにするためだ。学内に密な状態を極力作らず、感染リスクを低くする狙いがある。また新入生へ校舎を分かりやすく示す目的もあるという。

 しかし導入当初は、多くの在校生が戸惑った。「Uターンができないため、教室から一度出ると戻ることが難しい。教室移動にも時間がかかってしまう」と人間学部3年の神田恵理子さん(21)は話す。

 大学側では、こうした不便を解消すべく、入構できる場所を2カ所に増やし、正門から遠い教室へ入りやすいようにした。また遠回りをしないで済むよう、キャンパスを横断できる通路も設けた。1カ月たつ頃には戸惑いの声は減ったという。キャンパスが決して広くはない同大学。「慣れると、ごった返していたキャンパスがスッキリし、移動の不便さが気にならなくなった」と神田さんは話す。

 一方通行は、コロナ下でも学生を締め出さず、制限はあってもキャンパスライフが送れるように配慮した方策といえる。高瀬さんは「4月からの新年度も現行のルール継続を検討中」と話している。【大正大・中村勝輝】

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