すたこら 突然の不調

すた・こら

 海外留学を挟み、大学生活も5年目を迎えた。一足先に卒業した同級生と連絡を取ると、「仕事に行きたくない」「つらい」と言われることが増えた。そんなときは決まって、自分自身の、とある過去の出来事を思い出す。

 高校2年生の夏休み明けに突然、月曜日に学校へ行けなくなってしまった。体調不良ではなく、友人関係も部活も順調なのにどうして――。このまま卒業まで学校に行けないかもしれないと想像し、泣きたくなったのを覚えている。

 火曜日。登校はできたが、周囲にどう伝えればいいか分からずもんもんとしていた。「精神的に調子が良くない」と、気軽に話せる機会は簡単に見つからない。明るい話題を変えてしまうのが怖かったし、元気な普段の自分とのギャップに戸惑うのではと、言葉に詰まった。

 支えになったのは、周囲からのごくささいな声掛けだった。部活動の同期生が「大丈夫?」とメッセージをくれたり、欠席した翌朝にクラスメートが「休んだ日のノートを見せようか?」と声をかけてくれたりした。何でもないことのように接する雰囲気からは気遣いが伝わり、救われた。

 結局、2度の週明けをそうして過ごすうちに、不調は落ち着いた。原因は今でも分からない。だが心の不調は誰にでもあり得ること。それでいて気軽に人に頼るのが難しいことを、身をもって学んだように思う。あのときそっと背中を支えてくれた周囲の気遣いを、今度は自分が届けていく番だ。【筑波大・西美乃里】

PAGE TOP