就活最前線:大学3年生座談会

企業訪問や面接のスケジュールを確認する就活生 記事
企業訪問や面接のスケジュールを確認する就活生(東洋大・佐藤太一撮影)

日程廃止で暗中模索

 3月1日は、経団連が定める就活スケジュール(採用指針)の広報活動解禁日。しかし、2021年春卒業生から指針を撤廃。政府は従来のスケジュールを守るよう求めているが、実情はどうか。その対象となる3年生に話を聞いた。【まとめは東洋大・佐藤太一】


もう内々定/先輩頼り情報/授業が犠牲

――現在のそれぞれの就活状況を教えてください。

 A 内々定はまだだけど、2月に入ってから選考は受けている。

 B 私は昨年12月から選考を受けている。

 C 私はもうちょっと早くて、10月には選考を受けた。志望業界の就活は早い。

 D 内々定は1社あるけど、就活はまだ続ける。

――就活を意識し始めたのはいつごろからですか。

 A 3年生になった春からかな。大学から就活イベントの通知はがきが来て、そろそろだなと。

 B 私も春。そのころから、自己PRなどを考えるようになった。

 D 私も春。ネットニュースでも就活の話題が目に入るようになった。

――では、実際に就活を始めたのはいつですか。

 C 6月1日のインターン解禁。友人に連れられて応募した。

 A 私も6、7月のインターン。

 D 私は夏は遊んでいたな……(苦笑い)。秋のインターンから動き始めた。

 B インターンより、就活支援団体を通じて志望業界の内定者に話を聞くことから始めた。動き始めたのは夏から。

――志望業界はいつごろ、どのように決まりましたか。

 A 秋ごろかな。

 D 大学2年の時から。

 B 私は中学生の時からの夢で。

 C 私は地方出身で、娯楽はテレビくらいしかなかったから、自然とテレビ局などマスコミ志望に。

――経団連が採用指針を撤廃すると発表した時は、どう思いましたか。

 D 焦ったけど、もともと守られていないルールだし、撤廃してしまった方がはっきりして良いかなとは思った。

 B 無駄に焦ってしまった。就活サイトに載っているスケジュールは今まで通りで、何が正しいのか混乱した。

 A 何がどう変わるのかよくわからなかった。就活スケジュールが守られていないのは前からだし。

――その後も就活スケジュール廃止についての情報は混乱しましたよね。

 C 夏に大学の就職支援課に行ったけど、ルール廃止の話はまったくでなかった。就職支援課のスタッフも情報を把握していなかった。

 D 就活関連の本や、大学の先輩の内定者とつないでいるサービスを利用して、スケジュールに関する情報を集められた。

――就活スケジュールの廃止が、実際の就活に与えた影響はありましたか。

 B 志望している企業のエントリーシートの提出日が早まった。去年は4月提出だったと先輩から聞いていたが、今年は2月。

 A 私が志望している業界は従来の日程を守っているかな。でも、インターンや選考が平日にあって、その日に行けなければだめというのは厳しい。

――大学の授業がある平日でも、選考などがありますよね。

 B 3年生になったら就活で平日を割かれることは必至。1、2年生のうちに単位を取っておく計画性も必要。

 D でも、履修のしくみは大学によって違う。3年生のときに必修の授業がある大学もあるし、平日に選考があるのは問題。

 C 平日に選考やインターンがあって、来社証明書すらもらえないこともあった。学生に日程調整を求めるだけっていうのはおかしい。経団連が学業に影響する平日のインターンの原則廃止を企業に求めるよう検討しているらしいから、それに期待。

――就活のスケジュールは、大学生活を軽視している面もありますよね。

 D 3年生から就活を始めるとしても、大学生活が半分終わったら仕事のことばかりを考えることになる。大学は学問をする場であって、就活予備校じゃないのに。

 A どんどんスケジュールを早くしてどうするんだろう。優秀な学生を囲い込みたいんだろうけど。

――就活スケジュールに対して望むことはありますか。

 B スケジュールをもっと遅くしてほしい。2年生のときから就活を始めている人もいるし、就活に割かれる期間が長すぎる。

 C 遅くしてほしいし、各業界の足並みをそろえてほしい。

 A 足並みがバラバラなのはやめてほしい。いつどの会社が何をするのか、すべての情報にみんながアクセスできるわけじゃないし。

――これから就活を始める後輩たちにアドバイスはありますか。

 D スケジュールがどんどん早まるなら、最初は広く業界を見ておくことが大事かな。興味を持ったときには選考やインターンの募集が終わっていた、ということが起きないように。

 B ネットより、身近な先輩とかの方がリアルな情報が聞ける。自分から動いて情報を集めるべきだ。

 A 就活は大変だけど、自分を見つめなおす良いきっかけでもある。自分の好きなことや、やりたいことに気付いたときはうれしい。

 ――私も就活生。就活ルール廃止への不安は共通だと実感できました。ありがとうございました。


プロフィル(カッコ内は志望業界)
A=私大文系(人材、エンタメ)
B=私大文系(出版)
C=私大文系(マスコミ)
D=国立文系(メーカー、出版、新聞)


■就活スケジュール
 経団連は主導してきた就活スケジュール(採用指針。3月1日広報活動解禁・6月1日採用選考解禁)を21年春卒業予定者(主に現3年生)以降、撤廃を決定。政府はこれまでの日程の維持を各経済団体等に要請しているが罰則はない。採用活動の早期化や、通年採用の増加が予想される。

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