布の美しさ最大限に
11月2日から4日まで開催された多摩美術大学芸術祭で、「テキスタイルパフォーマンス2019交交(こもごも)」が上演された。同大の生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻の学生たちを中心とした有志が、会場設営から演出までを手掛けた。
テキスタイルとは、布地や織物を指す。同学科の学生たちは、糸選びからデジタルプリントまで、テキスタイルに関するありとあらゆることを学んでいる。そんな学生たちによる、テキスタイルの魅力を伝えるためのパフォーマンスだ。単に布を見せるのではなく、音響や照明、体の動きを用いて、テキスタイルの持つ美しさを発揮させる。
会場は同大八王子キャンパス内(東京都八王子市)のメディアホール。ステージを挟むように設置された客席は満員。客席からステージまでは手が届くほどの距離だが、会場の内装に施された白色系の布が、神秘的な雰囲気を漂わせる。
パフォーマンスが始まると、カラフルで艶のあるポップなものから、暗い色合いのすごみのあるものまで、シーンに合わせたさまざまな衣装に身を包んだパフォーマーが、次々と登場。それに合わせた演出が施される。
「人間関係」は今回のテーマ。「たつ」「くむ」「しばる」といった、テキスタイルの技法と人間関係に共通するイメージを見いだし、表現した。
布の美しさと、一糸乱れぬパフォーマンスに見とれるうち、あっという間に20分ほどのパフォーマンスは終了。会場を後にする観客たちも、それぞれ驚きや感動の言葉を交わす。同じパフォーマンスを見るという共通体験を通じて、また新たな人間関係が織りなされていた。【東洋大・佐藤太一、写真は成城大・風間健】