すたこら:昨日より今日に

 毎日、今の自分には分からないことだとは分かっているのに将来のことを考えては不安になる。今までの人生の中で大きな進路決定は2回あった。高校受験と大学受験。どちらも失敗に終わった。ストレスで吐いて、皮膚に湿疹ができるまで勉強した。自分の中で極限まで頑張っても、周りと比べると自分の頑張りは認められなかったのだと突きつけられた。

 私には自分の人生の進路決定という大きな基点の場においての成功体験が無い。その事実が就活という大きな分かれ道に向かおうとする自分を後ろ向きにさせる。ぐだぐだ考えている暇があったら準備をしなくてはいけないのは分かっている。しかし、頑張ろう、と就活準備をする度に「この努力は意味があるのかな」という言葉がちらつく。

 そんな気持ちを抱えながら塾でのアルバイトをしていた時のこと。生徒から「周りに比べて自分は全然できない……」と相談を受けた。私も同じように悩んで先生に相談したなと思いながら、その時先生が言ってくれた言葉をその子に伝えた。「周りと比べるんじゃなくて、昨日の自分と比べて今日の自分ができているかどうかが大切なんじゃないかな」

 自分で言った言葉にハッとした。まずは昨日より価値ある自分になれているかに目を向けるべきではないのか。その努力に意味があったかは結果が出ないと分からない。進路への不安は拭いきれていない。それでも今日の自分に正直に向き合い、少しずつでも前を向いていきたい。【学習院女子大・田中美有】

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