すたこら 夏の楽しみ

すた・こら

 私には毎夏の楽しみがある。それは鉄道模型と、線路や周囲の景色を立体的に再現する「鉄道ジオラマ」の出来を競うコンテストだ。高校生の時は部活動で参加し、卒業してからは毎年ボランティアとして運営の手伝いをしている。

 普段は何気なく使っている電車についてその細部まで調べ、どっぷりと鉄道の世界につかった2年間はとても刺激的で楽しかったのを覚えている。2年生の時には部員10人で作った作品が、このコンテストで最優秀賞に選ばれたことも、とてもいい思い出だ。

 そんな思い出のコンテストで毎年いろんな人と出会う。鉄道のことならなんでも知っているやんちゃな高校生、寡黙なジオラマ作りの天才、20代で鉄道模型のレンタルも行うバーを経営しているお兄ちゃん……。彼らが作る作品はどれも個性的なものばかりだ。そして、ここで出会う人たちはみんな自分の好きなことに一生懸命で、とてもいい人ばかり。鉄道ジオラマが好きという共通点を尊重し、性別も年齢も関係なく仲間として接してくれる彼らが私は大好きだ。

 高校時代には出会えなかった彼らから刺激を受け、私ももうちょっと頑張らなきゃと、自分に活を入れている。悩んでいること、楽しかったこと、やりたいこと、何を話しても受け入れていろんな意見をくれる。年に1度しか会わない人たちだけれど、だからこそ気負わずに本当の自分がさらけ出せるのかもしれない。

 彼らに会いに今年もコンテストの手伝いに行く。【東京女子大・津田萌子】

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