すたこら 運命との向き合い方

すた・こら

 「日本人は運命論を信じる」。そう大学の授業で聞いたことがある。何かあった時に、「こういう運命だったんだ」と捉えることが運命論。この話を聞いてふと、「もしかして、世の中全部、運命で決まっているのかな」と考えた。

 今日の紙面で、この運命論について書くことは、自分で決めたことだと思っていたけど、実は運命でそうなるように決まっていたのかな……。え、じゃあ私が「キャンパる」に入ることさえも決まっていたのかな……。と、訳の分からない思考を巡らせてしまう。

 しかし、全てを運命と考えたら、まるで自分の意思がないみたいだ。「これは自分で決めたこと。授業で聞いた運命論なんか信じない」。強気なもう一人の自分が、運命論を頭の外へ追いやろうとする。でも、それも一瞬。自分が落ち込んだ時に、「そういう運命だから仕方がない」と思ったら、少し気が楽になった経験をいくつか思い出した。さっきの強気なセリフが恥ずかしくなるくらい、実際の私は運命論にお世話になっていたのだ。

 自分の決断だと思えば自信になるし、運命だと思えば諦めがつく。人生における出来事それぞれで、これは自分の意思だとか運命だとか、都合の良いように解釈してしまうのだろう。自分の人生は、ちゃんと自分の意思で切り開きたいし、そういうものだと思いたい。けれど、自分にできる全てをやってもうまくいかなかった時は、「これも運命だ」と自分を慰め、未練を残さず新たな道に向かうことにしよう。【日本女子大・鈴木彩恵子】

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