すたこら:「そっくりな2人」

 私は父に似ている。濃い顔立ちもそうだが、自分のことを家族に多く語らないところが最たる例だ。母の学生時代の友達は名前を言えるほどだが、父の友達は未知。仕事のことは良い話も愚痴も聞かない。お笑い番組をみて大爆笑したり、ドラムを習い始めたり。理由を聞かずとも行動をみて、なんとなく父を把握してきた。たまには会話もするし、近すぎず遠すぎない仲を悪くないと思っている。

 だから先日の夜中、父にリビングに呼び出されたのには驚いた。テレビも消し2人きりで食卓を介し向かい合う。暗い顔つきで発されたのは意外な言葉だった。「無視されたような気分になる。それをされるとお父さんは傷つく」。私が出かける際、いつも弟と母だけに伝えていたことを指していた。

 自分もいちいち言わないくせに、とは思ったが、悲しいというむき出しの感情をみて戸惑った。コロナの影響でおうち時間が増えた父は、私との距離に違和感があったのだろうか。いずれにせよ、この気持ちを打ち明ける難しさが私にはよく分かる。私自身、受験や就活でつらいとき、恋人や友達とうまくいかず悲しいとき、その弱さを誰かにさらけ出すことに葛藤してきたからだ。

 弱さを見せても私と向き合っていきたい。そんな父は私にとって支えになる存在に思えた。だからといってすぐに会話が増えて、目に見える仲良しになるわけでもない。互いに小恥ずかしいのだろう。そんなところまで、父と私はそっくりだ。【法政大・平林花】

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