すたこら:「継続すること」

外出自粛が続く中、部屋の片付けにいそしんでいる。古い雑誌や服を次々と処分したが、どうしても捨てられないものもある。何十足ものトーシューズだ。どれも履きつぶしてボロボロになり、サテンの輝きはとうに失っている。

 4歳の頃からクラシックバレエを習ってきた。小中高、多いときは週に5日、レッスンに通った。大学受験を境に遠ざかってしまったが、今でも曲を聞けば自然と体が動く。よく続いたねと褒められたこともある。その度に自問自答した。長く続けることは良いことなのかと。

 向いていないことは自覚していた。結果につながらない現実を前に、続けるべきか悩んだこともある。ただ、他に取りえのない自分から「好き」を取り上げてしまうことが怖かった。

 時々、無意味な「もし」を考えてしまう。あのとき、他のことを選んでいたら。もっといろんなものに触れていたら。視野が広がり、もっと自分に合う何かを見つけていたかもしれないと。

 だが、シューズを手にすると鮮明に思い出す。本番で失敗し頭が真っ白になったこと。情けなくて、涙を流したこと。逆に、できなかったことが、できるようになった日のこと。全てが今の私を作っていることを。

 多くを費やしたことが成果に結びつくとは限らない。だが社会に出れば「好き」に打ち込む時間は簡単に手に入らないだろう。だからこそあの貴重な日々を忘れずにいたい。経験という財産を腐らせないために。【津田塾大・畠山恵利佳】

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