入試改革に疑問次々 大学生座談会

 大学入試センター試験が終わり、2020年度から行われる大学入試改革。その一環として、大学入学共通テストが始まる。最近では、このテストへの国語と数学の記述式問題と英語民間試験の導入見送りが決定し、大きな話題となった。さまざまな意見が飛び交う大学入試改革だが、実際に大学入試を経験してきた学生はどう見ているのか。座談会で生の声を聞いた。【司会・まとめ、立教大・明石理英子、写真は東洋大・佐藤太一】


――まず、記述式問題と英語民間試験の導入見送りが決定したニュースを見た時の率直な感想を教えてください。

 A 妥当な判断。高校や大学の対応が追いついていないため、時期尚早だと思うから。

 B 私も妥当だと思った。英語民間試験は受験にもお金がかかり、全員が平等に受けられるものではないから。

 C 共通テストの導入が決まった時から、採点の公平性などさまざまな問題が指摘されていたため、導入の必要性を疑問に思っていた。

 D 高校生などが、共通テストの実施に反対しているのを見ると、本当に受験生のために考えられた入試改革なのか疑問に感じていた。

――大学で勉強していくなかで、受験での知識やスキルが必要になったり、役立ったりしたことはありますか。

 A 数学も受験科目だったけれど、当時はテクニックを重視して解いていた。統計の授業を受けた時に、もっと理屈を重視して勉強すればよかったと反省した。

 B 理系の授業は高校での勉強が基礎知識として必要なことが多い。受験していない科目の知識は身についておらず、授業が理解できない時がある。

 A 逆に世界史の知識はとてもためになった。授業に人名などが出てきてもイメージしやすい。

 C 入試英語では文法の知識が身についた。英会話をする上でとても役に立っている。

 D プログラミングをする際、数学で覚えたように公式を覚え、使うことが重要になった。

――入試改革には、推薦入試等の入学定員の拡大も目標の一つにあります。推薦入試をとおして学べたことはありますか。

 C 推薦入試には論文のテストがあったので、文章を書くことへの抵抗がなくなった。自分が考えてきたことや志望学科への関心が入試で問われるため、やりたいことへの一貫性が強まったように感じた。

採点の公平性が必要、思考力は選択式でも

――(導入が延期された)共通テストの記述式や英語民間試験の導入は必要だと思いますか。

 B 記述だけが思考力を測れるものだとは思わない。例えば、英語や国語の長文問題は選択式であっても、知識だけでは解けない。

 C 英語民間試験で4技能(読む・書く・聞く・話す)を測ったとしても、テクニックで解く人がでてきてしまい、本当に思考力を測れるのかわからない。

 D 大量の受験生の答案を採点する上で公平性を考えると、マーク式の方が適していると思う。

――1979年度に共通1次試験が始まり、現在の大学入試センター試験となり、来年度からは大学入学共通テストになります。そもそも今回の大学入試改革は必要だと思いますか。

 A まずは、共通で受けるテストの意義を明確にすべきだ。基礎的な学力を測るためのものであれば、センター試験のままでよいと思う。

 C 大学入試改革の背景にある問題意識は理解できる。だが、入試で多くのことを問おうとすると、勉強が第一になってしまい、高校生活に余裕がなくなってしまう。

 D 大学入試を突破することがゴールのように感じる。その結果、目的をもって大学で学ぶ人が少なくなりそう。

――入試だけでなく、大学側が教育機関として、改善すべきだと思うことはありますか。

 A 各大学が大学のあり方について考え直すべきだ。すべての大学が同じ方針である必要はないと思う。

 C 最近、学生は課題が多く、忙しく感じる。将来について考えられる時間の余裕を作ることも大切だと思う。

――ありがとうございました。


◇座談会参加者
A=国立大文系4年・女子・一般入試(センター試験+2次試験)
B=国立大理系1年・女子・一般入試(同)
C=私立大文系2年・女子・推薦入試
D=私立大文系2年・男子・一般入試(大学試験)

■大学入学共通テスト
 2020年度から採用される全国共通の入学試験。現在の高校2年生以降が対象となる。今年度で廃止される大学入試センター試験と同様6教科30科目が出題される。国公立大は1次試験として必須で、私立大は活用するかどうかは各大学の判断による。実施の背景には、グローバル化や科学技術の飛躍的な進歩といった大きな変革を迎えるなか、新しい社会に適応できる人材を育成しようという国の考えがある。共通テストでは、知識だけでなく、思考力や判断力や表現力、主体性も重視される。

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