2019/09/03 なにコレ!?

早稲田スタンドアップパドル 風切って水上ぐんぐん

 新しい水上アクティビティーとして注目を集めているスタンドアップパドル(SUP)。浮力のある安定した専用ボードに立ち、パドルをこいで進むため、初心者もすぐできるのが特徴だ。レジャースポーツとして人気のSUPに、競技として全力で取り組む学生たちがいる。「早稲田スタンドアップパドル(通称ワセパ)」を取材した。【上智大・川畑響子】


 SUPの発祥は諸説あるが、ハワイで始まった水上スポーツだ。サーフボードより大きめの、空気で膨らませるゴム製のインフレータブルボード(全長約3・8メートル)を主に使用し、背丈ほどのパドルをこいで前に進む。腕のみでなく、体を大きく使って進むのがポイントだ。

朝練を終えた、ワセパのメンバー。ボードはかなり大きいが軽量=神奈川県平塚市の相模川の練習場で、佐藤太一撮影

 ワセパは2014年、SUP愛好家の学生たちが「学生にSUPを広めよう」と設立した大学公認のインカレサークル。早稲田と他大学の学生が約半々、現在31人で活動している。他にも慶応大、横浜市立大、立教大でもチームが発足。学生の競技人口は約60人と、まだまだマイナースポーツだが、参加している学生たちは熱い。

 彼らの朝は5時半スタートの朝練から始まる。平塚駅(神奈川県)近くの相模川河口を中心に、大学の垣根を越えて練習に励む。週1回参加が条件だが、5代目メンバーで大学から1人暮らしの高田侑紀さん(早稲田大3年)は、「毎日来るために平塚市に引っ越しました」というつわものだ。

 日本の大会は30分以上こぐ6キロのレースが一般的。練習では、たくさんこいで長距離に耐えるスタミナをつけたり、動画を確認しながらフォームやターンの技術を向上させたりする。実際どのようにレースで競うのか。8月11日に多摩川で行われた学生選手権個人戦を見に行った。

 この大会は250メートルの短距離レース。三つの浮標を結んだラインを行き来するコースで速さを競う。男女ともに、序盤は横に並ぶ混戦。うまく抜けた選手が、体全体を大きく使いながらぐんぐんと水上を滑る。ターン時には、転倒者が出るほどのデッドヒート。結果、男子は高田さんを含めたワセパの選手が表彰台を独占。女子は後半追い上げた大谷莉子さん(同大3年)が2位に入った。

 レースについて竹内鋼大さん(同大3年)は、「自然を味方につける戦略をたてる」ことが必要だと言う。SUPは自然の中で戦うスポーツ。風に向かって進むのが得意な選手もいれば、その逆もいる。特に長距離ではその日の川の流れや風向きを考慮しながら、おのおのがレースプランを立てる。他の選手の後ろで風を避け、最後に追い抜かすなどの駆け引きも繰り広げられるそうだ。

 「こいでいる時はひとりだけど、みんなで戦っている感じが好き」と大谷さん。レース中にチームメートとすれ違うと、「いこーぜいこーぜ!」「あーい!」と声を掛け合う。お互いライバルだが、同時に励まし合う仲間でもあるのがワセパの魅力だ。

11日に国際大会

 今月11日からオランダで行われる世界最大級のSUPレースに高田さん、竹内さん、大谷さんを含めた4人の学生が日本代表として参戦する。出場するのは、5日間で220キロのコースをこぐ超長距離レース。フルマラソンを超える55キロずつを、4人がリレー形式でつなぐ。普段の練習でこぐのは、長くても10キロほど。未知の距離に不安もあると言うが「国際大会でどれくらい戦えるか楽しみ」と竹内さん。どのチームにも負けないほど長い時間を一緒に過ごしてきた彼らは、オランダの地で優勝を狙う。

 競技だけでなく、レジャーとしてもワセパはSUPを楽しんでいる。毎年全員で長崎の壱岐に行ったり、東京スカイツリーを横目に隅田川をこいだり、水がある所はどこでもクルージング場だ。藤堂海来さん(日本女子大3年)はメンバーと一緒にボードを持って広島旅行へ。潮が引くのを待たずに厳島神社の鳥居をくぐるという体験もSUPならでは。「SUPでしか行けない離島の狭い場所や、見られない高さの景色がある」と魅力を語る。

 今後について「ワセパとしては11月の全日本学生SUP選手権で優勝したい。もっとSUPに打ち込む学生が増えてくれたらいいな」と、藤堂さん。記者も実際にSUPを体験したり試合を見たりして、その奥深さとかっこよさに魅了された。今後ワセパが、日本のSUP界を盛り上げていくだろう。

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