すたこら ドイツで触れた真心

すた・こら

2年前の春、ドイツ東部の町に短期留学をした。ホームステイの語学留学だ。

 海外に行くこと自体が初めてで、不安で心が押しつぶされそうになった。しかし老夫婦2人のホストファミリーの底抜けな優しさに本当に救われた。寝坊しそうになったらトントン、と優しく肩をたたいてくれる。電車に乗る時は決まって駅まで車で送ってくれる。ドイツの有名なお酒やお菓子、料理をたくさん出してくれる。私に、これ以上ないほどの真心を持って接してくれた。ありがたいを通り越して、仏様なのかなとすら思った。

 そして学業が落ち着いた去年9月。お世話になった彼らの家を再度訪ねた。「また来る」と言った言葉をうそにしたくなかったから。1カ月留学しただけの私を覚えてくれているか、不安もあった。だが、彼らはまるで実の親のように優しい目で私を見つめ、抱きしめてくれた。

留学時、ホストファザーが入院すると聞き「日本流のお見舞いです」と贈った色とりどりの折り紙の鶴。真心には真心で返す。私なりの恩返しのつもりだった。それが、今でも部屋に飾ってあるのを見つけた。びっくりびっくり。心がじわじわと温まった。「この鶴は我が家の平和の印だよ」とホストマザー。つたないドイツ語で「こんなに大切にしてくれて、とってもうれしい」と伝えた。

 この思い出は、宝物。次に彼らに会う時は、ドイツ語ペラペラになって、驚かせてやろう。他の国の人が自分の国の言葉をしゃべるってことも、真心のひとつだと信じて。【専修大・左近美穂】

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