「負けず嫌いですか？」。先日、就職活動の面接でこう聞かれた。私は返答に困った。正直に言えば私はきっと、いわゆる負けず嫌いではない。他人との争いで勝ちにこだわる性格ではなかった。そもそも傷を負う勝負を、避けてきたのかもしれない。そんな自分をどこか情けなく思う自分もいた。
就活は、私にとって初めて「傷を負う覚悟」をもって臨んだ自己実現のための勝負だった。下手なことを言えば狭すぎるその門が閉ざされてしまうかもしれない、そんな面接官の質問にこう答えている自分がいた。「勝てなくても負けない力ならあります。一瞬の勝負で勝てなくても、絶対に負けない。その先に勝利があるなら、負けず嫌いかもしれません」。こんなことを考えていたのかと、自分でも少し驚いた。
振り返れば、私にとって重要なのは勝ち負けよりも、自分が納得できるかどうか、後悔しないかどうかだった。10年間続けた水泳。中高生時代のテスト勉強。大学に入って始めたカメラ。全力で向き合っている自分を好きでいられるかが、何より大切だった。
来春から、そのカメラで仕事ができる。今から楽しみで仕方がない。悩むことも、落ち込むことも、挫折もたくさんあるだろう。そんなときは誰に負けても自分だけには負けない、「負けず嫌い」な自分を思い出したい。これからも絶対に負けてたまるか。【立教大・宇野美咲、イラストも】
